第110回 午後 問43
個人・家族・集団・組織の支援
アルコール依存症に関する問題
次の文を読み42~44の問いに答えよ。
Aさん(56歳、女性、無職)は1年前に職を失ってから飲酒量が増え、半年前には多量飲酒で意識消失し大学病院に救急搬送され、アルコール依存症が疑われたが、治療にはつながらなかった。警察署から、B町の保健師に「B町に住むAさんが泥酔して公園で寝ていたところを保護している。保護したのはこの半年で3回目だ。Aさんは1人暮らしだが、B町に姉のCさんがいるので、Cさんに迎えに来てもらっていた。今回はCさんに連絡がとれないので、保健師の支援をお願いできないか。保健師に連絡することは本人が同意している」と連絡があった。保健師は、住民基本台帳でAさんとCさんがB町に居住していることを確認した。
保健師は上司に報告および相談し、警察署にAさんを迎えに行き、Aさんの自宅で面接することになった。
保健師が翌日に再度訪問すると、Aさんは「お酒をやめられず、どうしていいかわからない」と話したため、Aさんはアルコール依存症の治療プログラムを受ける目的で入院した。退院が近づき、Aさん、Cさん、医師、受持ち看護師、保健師でカンファレンスを行った。Aさんは「1人暮らしで、誰とも話さずに家でじっとしているとお酒を飲んでしまいそう」と話した。
この状況でAさんに勧められる可能性が高いのはどれか。
- 1運動教室への参加
- 2自助グループへの参加
- 3就労に向けたハローワークの利用
- 4地域のボランティア活動への参加
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✓ これが正解2自助グループへの参加
解説
孤立から再飲酒を防ぐため、自助グループへの参加を勧めます。
アルコール依存症の回復では、断酒を続けることが目標になり、そのためには医療の継続とともに、同じ問題を抱える仲間とのつながりが大きな支えになります。退院後の生活では、孤立や手持ち無沙汰の時間が再飲酒のきっかけになりやすいからです。
Aさんは、1人暮らしで誰とも話さずに家でじっとしているとお酒を飲んでしまいそうだと話しています。決め手は、孤立と空白の時間が再飲酒の危険になっていると本人が自覚している点です。断酒会やAA(アルコホーリクス・アノニマス)などの自助グループでは、お酒をやめ続けている仲間と体験を語り合い、互いに支え合います。定期的に通う場所と、悩みを分かち合える人間関係が同時に得られるので、Aさんの不安に直接応えられます。したがって、自助グループへの参加が勧められる可能性が高いです。運動教室やボランティア活動は人と関わる機会にはなりますが、飲酒の問題を共有して支え合う場ではなく、就労は回復が安定してから考える段階です。
依存症の回復支援では、同じ問題をもつ仲間どうしの支え合いの場が中心になる、と押さえておくと選びやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1運動教室への参加:運動教室は、体を動かし人と会う機会にはなりますが、飲酒の問題を語り合い、断酒を支え合う場ではありません。お酒を飲んでしまいそうというAさんの不安に直接応える支援にはなりにくいです。
- 3就労に向けたハローワークの利用:退院直後は、断酒を続ける生活を整えることが最優先の時期です。仕事を探すことは新たな負担やストレスにもなりうるので、ハローワークの利用は回復が安定してから検討する段階といえます。
- 4地域のボランティア活動への参加:地域のボランティア活動は社会参加の機会になりますが、参加者が飲酒の問題を理解しているとは限りません。断酒の悩みを共有できる仲間と出会える場ではないため、この状況で勧める優先度は下がります。
出典:第110回 保健師国家試験 午後(厚生労働省)問43(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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