法務|エンベデッドシステムスペシャリスト試験
この分野には 8問あります。くり返し出ているものから並べています。
この分野でくり返し出ている用語はライセンス(4問)です。問題が多い回は令和6年度 秋期(2問)・令和5年度 秋期(1問)・令和4年度 秋期(1問)です。
誰が、どの行為について、どこまで許されているか
知的財産のライセンスは、誰が誰に、どの行為を、どの範囲で許すのかという三つを押さえると判断できます。許諾は与えた範囲にしか及ばず、範囲の外で権利を使えば侵害や契約違反になります。
特許の実施権には二つの型があります。専用実施権は、設定した範囲でその特許発明を独占して実施できる権利で、特許原簿への設定登録によって効力が生じます。独占なので、その範囲では特許権者自身も実施できなくなります。通常実施権は独占ではなく、特許権者は同じ範囲を複数の相手に許諾でき、自ら実施を続けることもできます。
実施権の許諾を受けた者が、さらに第三者へ実施権を許諾することをサブライセンス(再実施権の許諾)といいます。許諾を受けた者が他人に実施させられるのは、特許権者の承諾など、それが認められている場合に限られます。また、製品の一部だけが他社の特許の範囲に入る場合でも、その部分のライセンスを得ずに製造・販売すれば侵害になります。権利者が複数いれば、それぞれから許諾を得ます。
プログラムは著作物として保護され、著作権は行為ごとの権利に分かれています。そのまま書き写して製品に載せるなら複製権、手を加えて作り変えるなら翻案権が関わります。設計だけを許諾された者が自ら量産すれば、許されていない製造の範囲に踏み出すことになります。
オープンソースのライセンスも、どの行為で義務が生じるかで区別します。GPLは改変したものを配布するときにソースコードの開示を求めるコピーレフト型です。AGPLは、配布しなくても改変したものをネットワーク越しに利用者へ提供する場合に開示の義務が生じます。開示の範囲は、そのライセンスのコードを含むプログラムかどうかで決まります。
この分野で出た問題
- 令和4年度 秋期 問23A 社は,保有する特許の専用実施権を,組込み機器システムを開発して販売する B 社に許諾した。A 社又は B 社が受ける制限に関する説明のうち,適切なものはどれか。ここで,B 社の専用実施権は特許原簿に設定登録されるものとする。
- 令和5年度 秋期 問20A社が設計及び製造に関する知的財産権を保有する半導体IP(A社半導体IP)を,B社がライセンス導入し,B社はその半導体製品の設計,製造及び販売を計画している。A社半導体IPの使用許諾契約書で,製品設計に必要不可欠な範囲でだけ知的財産権が許諾されているとき,B社が使用許諾違反となるおそれがあるのはどれか。
- 令和6年度 秋期 問20A社は,保有する特許の専用実施権を,組込み機器システムを開発して販売するB社に許諾した。A社又はB社が受ける制限に関する説明のうち,適切なものはどれか。ここで,B社の専用実施権は特許原簿に設定登録されるものとする。
- 平成31年度 春期 問25A社は,保有する特許の専用実施権を,組込み機器システムを開発して販売するB社に許諾した。A社又はB社が受ける制限に関する説明のうち,適切なものはどれか。ここで,B社の専用実施権は特許原簿に設定登録されるものとする。
- 平成27年度 春期 問25A社は,新規に量産販売する組込みシステムにB社が開発し市販しているOSを改造することなく搭載しようとしている。A社がB社から許諾を受けなければならないものはどれか。
- 令和6年度 秋期 問21小型のセンサーを搭載したモニタリング機器,及びその機器との通信を行ってデータを蓄積し,データを可視化するクラウドサーバのアプリケーションを開発して,サービスを社外に公開する。モニタリング機器のファームウェアは全て自社で開発し,サーバのアプリケーションにはAGPLバージョン3のライセンスで公開されたソフトウェアを改変して使用することを決定した。このとき,ライセンスの趣旨に沿うものはどれか。
- 平成28年度 春期 問25特許のサブライセンスの説明として,適切なものはどれか。
- 平成30年度 春期 問25組込みシステムの特許におけるライセンスに関する記述として,適切なものはどれか。
正解と解説は、答え合わせのあとに出ます。
年度から解く
この分野の問題は 7年度ぶんの試験から出ています。いちばん新しいのは令和6年度 秋期です。年度別に解くと、回ごとにまとめて解けます。