平成25年度 春期 午前Ⅱ 問3
労働関連・取引関連法規
偽装請負に関する問題
A社のシステム開発課長の指揮監督下でB社のプログラマが開発業務を担当する状況において,監査報告書に記載された指摘事項として,適切なものはどれか。
- アB社が一般労働者派遣事業の許可を得ていない場合,派遣契約はできないので,指揮命令系統は変えずに請負契約に改める必要がある。
- イ請負契約であり,B社に対してはコーディング業務に限定して発注する必要がある。
- ウ請負契約であり,著作権の帰属があいまいになるので,法人著作である旨と著作者人格権とを,A社の権利として,契約条項に記載する必要がある。
- エ派遣契約であり,B社のプログラマがA社の著作権を侵害した場合の措置に関する規定を設けておく必要がある。
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✓ これが正解エ派遣契約であり,B社のプログラマがA社の著作権を侵害した場合の措置に関する規定を設けておく必要がある。
解説
A社の課長が指揮する派遣の形なので、著作権侵害時の措置を定めておきます。
見分ける軸は、誰がプログラマに指揮命令しているかです。A社の課長がB社のプログラマを直接指揮監督している以上、この形は請負ではなく労働者派遣にあたり、派遣契約で手当てすべき事項を考えることになります。派遣先のA社で働くプログラマが、A社のプログラムなどの著作権を侵害するおそれもあるため、その場合の措置を契約に定めておくことは、監査の指摘事項として筋が通ります。請負を前提にした指摘は、注文者が直接指揮するという状況と合いません。指揮命令するのが注文側なら派遣、受託側なら請負と押さえると、偽装請負を見抜けます。出題当時の労働者派遣法には一般労働者派遣事業(許可制)と特定労働者派遣事業(届出制)の区別がありましたが、2015年の改正で区別がなくなり、すべて許可制になりました。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- アB社が一般労働者派遣事業の許可を得ていな…:許可が無いからと契約の名目だけを請負に変え、A社の課長が指揮する形をそのまま残すと、実態は派遣のままです。これは偽装請負と呼ばれる違法な状態であり、改善を求める指摘として示す内容とは逆向きになっています。
- イ請負契約であり,B社に対してはコーディン…:この状況ではA社の課長が直接指揮しているので、請負契約という前提がまず合いません。発注の範囲をコーディングに絞っても、注文者が受託側の要員を指揮するという問題は残るため、指摘としての意味がありません。
- ウ請負契約であり,著作権の帰属があいまいに…:請負契約という前提が指揮命令の実態と合っていないうえ、著作者人格権は著作者だけに属する権利で、契約で他者へ譲り渡せません。著作者人格権をA社の権利として契約に書くという指摘は、その点でも成り立ちません。
この問題の用語
- 請負契約仕事の完成を約束して引き受ける契約のこと。作業の遂行だけを約束する準委任契約と違い、成果物を完成させる義務を負います。
- ログいつ誰が何をしたかを、機器やソフトウェアが自動で残していく記録です。あとから出来事をたどれるので、事故の調査や不正の発見に使われます。
- 監査報告書監査の結果と意見、改善の勧告をまとめて伝える文書のことです。原案は相手と意見交換し、事実誤認がないかを確かめます。
- 指摘事項監査で見つかった、直すべき点として報告書に書かれる事柄です。決まりどおりに行われていた行為は、ここには含まれません。
- 指揮命令働く人に仕事の内容や進め方を直接指示する関係のことです。派遣では派遣先が行いますが、請負では発注者ではなく受注した側が行います。
- 著作権文章や絵、プログラムなどを作った人に自動で生まれる権利。届け出をしなくても、作った時点で発生します。
- 著作者人格権作った人の気持ちを守る権利で、他人に譲ることはできません。意に反して作品を変えられない同一性保持権などが含まれます。
出典:平成25年度 春期 システム監査技術者試験 午前Ⅱ 問3
同じ用語が出る問題
- 令和7年度 秋期 午前Ⅱ 問24:IPランドスケープの説明(著作権)
- 令和6年度 秋期 午前Ⅱ 問7:監査報告書に関する問題(指摘事項)
- 令和2年度 10月 午前Ⅱ 問13:フェアユースの説明(著作者人格権)
- 平成26年度 春期 午前Ⅱ 問5:外部委託管理の監査に関する記述(指揮命令)
- 平成23年度 特別 午前Ⅱ 問4:偽装請負に関する問題(請負契約)
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