第38回 問題108
保健医療と福祉
診療報酬の支払い方式などに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1出来高払い方式は,必要な診療の手控えを誘発させる可能性がある。
- 2出来高払い方式の弊害として,医師の裁量が制約されやすい点がある。
- 3包括払い方式では,過剰な診療を誘発させる可能性がある。
- 4包括払い方式の弊害として,診療内容の透明性が失われやすい点がある。
- 5医療費適正化対策に伴い,DPC対象病院数は減少傾向にある。
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✓ これが正解4包括払い方式の弊害として,診療内容の透明性が失われやすい点がある。
解説
包括払い方式は、個々の診療内容が見えにくく透明性が失われやすい。
診療報酬の支払い方式には、大きく出来高払い方式と包括払い方式があります。出来高払い方式は、検査・投薬・処置など行った診療行為を1つずつ点数にして積み上げ、その合計を支払う方式です。包括払い方式は、病名や状態ごとに1日あたりや1入院あたりの定額を決めて支払う方式で、日本の急性期の入院では、DPC(診断群分類)に基づく1日あたりの包括払いが広く使われています。この問は、2つの方式の長所と弊害を対にして判断します。
出来高払い方式では、診療行為を増やすほど収入が増えるため、過剰な検査や投薬を招きやすい一方、何をしたかが1つずつ請求に表れるので、診療内容が見えやすく、医師の裁量も広く保たれます。包括払い方式では、定額の中で費用を抑えるほど医療機関の利益になるため、必要な診療の手控えを招くおそれがあり、また個々の診療行為が請求の上で見えにくくなります。包括払い方式の弊害として、診療内容の透明性が失われやすい点を挙げる記述が最も適切です。
ほかの記述は、2つの方式の特徴を入れ替えています。手控えの誘発は包括払いの、過剰診療の誘発は出来高払いの弊害です。医師の裁量が制約されやすいのも、定額の枠がある包括払いの側です。またDPC対象病院は、制度の導入以来大きく増えてきており、減少傾向にあるとはいえません。
出来高払いは多すぎる診療と透明、包括払いは少なすぎる診療と不透明、という対で覚えると見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1出来高払い方式は,必要な診療の手控えを誘発させる可能性がある。:行った処置や検査の数に応じて報酬が増える仕組みでは、医療機関にとって診療を減らす理由は生まれにくく、問題になりやすいのはむしろやりすぎの方です。必要な診療を控える心配は定額制の方式の側に生じます。
- 2出来高払い方式の弊害として,医師の裁量が制約されやすい点がある。:出来高払い方式では、行った診療行為がそれぞれ評価されるため、医師は必要と考える診療を比較的自由に選べます。医師の裁量が制約されやすいのは、定額の枠がある包括払い方式の側です。
- 3包括払い方式では,過剰な診療を誘発させる可能性がある。:包括払い方式は病名などごとの定額払いで、診療を増やしても収入は増えません。そのため過剰な診療を招く方向には働きにくく、過剰診療の誘発は出来高払い方式の弊害として挙げられます。
- 5医療費適正化対策に伴い,DPC対象病院数は減少傾向にある。:DPCによる包括評価の対象となる病院は、制度が始まって以来、急性期の病院を中心に大きく増えてきました。医療費適正化の流れの中で減少傾向にあるという事実はありません。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題108。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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