第37回 問題8
心理学と心理的支援
職場における人間関係や意思決定に関する課題が生じたときに,その原因を理解したうえで,対応策を考えることが重要である。次の記述のような課題が職場で生じたときに,社会的抑制による事例として,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1上司があまり成長を期待していなかった職員よりも,期待をしていた職員の方が次第に業績が向上するようになった。
- 2会議中,本当は反対したかったが,他の多くの参加者が賛成したので賛成してしまった。
- 3一人で考えていた内容よりも,全員が参加した会議で決めた内容の方が極端な結論になった。
- 4上司が仕事上の指導をするときに非常に近い距離まで接近してくるため,強い不快感が生じた。
- 5個室で一人で作業に取り組んだときよりも,大勢が一緒にいる部屋で取り組んだときの方が,他人の目が気になって効率が悪くなってしまった。
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✓ これが正解5個室で一人で作業に取り組んだときよりも,大勢が一緒にいる部屋で取り組んだときの方が,他人の目が気になって効率が悪くなってしまった。
解説
人目があることで作業の効率が落ちるのが、社会的抑制です。
社会的抑制とは、他人がそばにいたり見られていたりすることで、一人で取り組むときよりも作業の成績や効率が下がる現象をいいます。反対に、他人の存在で成績が上がる現象は社会的促進と呼ばれ、慣れた簡単な作業では促進が、不慣れで難しい作業では抑制が起こりやすいとされています。この問は、職場で起きた出来事がどの心理現象にあたるかで判断します。
個室で一人で作業したときよりも、大勢が一緒にいる部屋で取り組んだときの方が、他人の目が気になって効率が悪くなったという場面は、まさに他人の存在によって作業の効率が下がったものなので、社会的抑制の事例として最も適切です。
ほかの場面は別の現象にあたります。期待をかけられた人の業績が伸びるのはピグマリオン効果、周りの多数に合わせて意見を変えるのは同調、集団で決めると結論が極端になるのは集団極性化、近づかれすぎて不快になるのはパーソナルスペースの侵害です。
他人がいることで成績が下がれば社会的抑制、上がれば社会的促進、と対にして覚えておくと区別しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1上司があまり成長を期待していなかった職員…:上司の期待を受けた職員の業績が次第に伸びていくのは、他者からの期待が成果を高めるピグマリオン効果の例です。人目によって作業効率が落ちる現象ではありません。
- 2会議中,本当は反対したかったが,他の多く…:本心では反対なのに、多くの参加者が賛成したため賛成してしまったのは、集団の多数派に合わせて態度を変える同調の例です。作業の効率が下がる話ではありません。
- 3一人で考えていた内容よりも,全員が参加し…:一人で考えたときより、全員で話し合った結論の方が極端になったのは、集団で議論すると意見が一方向に強まる集団極性化の例です。
- 4上司が仕事上の指導をするときに非常に近い…:上司が近づきすぎて強い不快感を覚えたのは、人が自分の周りに保ちたい空間であるパーソナルスペースが侵された例です。作業の効率とは関係がありません。
出典:第37回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題8。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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