第27回 問題17
現代の精神保健の課題と支援
A県精神保健福祉センターのB精神保健福祉士のところに,Cさんが相談に訪れた。兄を自死で亡くしたというCさんは,自分と同じように自死で家族を亡くした経験がある人々が集まる「分かち合いの会」を主催しており,行政機関として何らかの協力をしてほしいというものだった。B精神保健福祉士は上司と相談した結果,センターの会議室の提供と広報への協力をするとともに,「分かち合いの会」に業務として定期的にオブザーバーで参加することとなった。
次のうち,この自殺対策活動を表す言葉として,適切なものを1つ選びなさい。
- 1イノベーション
- 2インターベンション
- 3ハームリダクション
- 4プリベンション
- 5ポストベンション
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✓ これが正解5ポストベンション
解説
自死遺族の分かち合いの会への協力は、事後対応のポストベンションです。
この事例の決め手は、Cさんが兄を自死で亡くした遺族であり、同じ経験をもつ人々が集まる分かち合いの会を主催していること、そしてB精神保健福祉士がその会に会場の提供や広報で協力し、オブザーバーとして参加することになった点です。
自殺対策は、時期に応じて三つの段階で整理されます。自殺が起こる前に、心の健康づくりや危険因子を減らす取組で予防するプリベンション、自殺の危険が高まっている人に危機介入するインターベンション、そして自殺が起きてしまった後に、遺された家族や周囲の人への影響を和らげ支えるポストベンションです。自死遺族は深い悲嘆や自責の念を抱えやすく、遺族自身の心の健康を支えることも大切な自殺対策とされています。
遺族どうしが体験や気持ちを語り合う分かち合いの会を行政として支えることは、自殺が起きた後の遺族への支援なので、ポストベンションに当たります。ポストベンションという言葉はシュナイドマンが用いたことで知られています。
覚え方は、プリは前、インターは最中、ポストは後、と接頭語の意味で三段階を並べることです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1イノベーション:イノベーションは、新しい技術や仕組みを取り入れて変化を生み出すことを指す言葉です。自殺対策の時期の区分を表す用語ではなく、遺族支援の説明には当たりません。
- 2インターベンション:インターベンションは、自殺の危険が差し迫っている人に対して危機に介入し、命を守る段階の対策です。すでに起きた自死の後に遺族を支える活動ではありません。
- 3ハームリダクション:ハームリダクションは、薬物の使用などをすぐにやめられない人について、使用に伴う害をできるだけ減らすことをめざす考え方です。自死遺族の支援とは別の文脈の言葉です。
- 4プリベンション:プリベンションは、自殺が起こる前に心の健康づくりや危険因子の軽減によって予防する段階を指します。自死が起きた後の遺族の分かち合いを支える活動とは時期が異なります。
出典:第27回 精神保健福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題17。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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