第61回 午後 問6
理学療法評価学
棘果長に関する問題
下肢長の計測結果を示す。左右差の原因で最も考えられるのはどれか。なお、右下肢に関節可動域制限や変形はない。
| 右 | 左 | |
|---|---|---|
| 棘果長 | 84.0 | 82.0 |
| 転子果長 | 80.5 | 80.5 |
| 大腿長 | 44.5 | 44.5 |
| 下腿長 | 36.0 | 36.0 |
(単位:cm)
- 1左股関節裂隙の狭小化
- 2左膝関節裂隙の狭小化
- 3左足関節裂隙の狭小化
- 4左膝関節屈曲位拘縮
- 5左足関節底屈位拘縮
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✓ これが正解1左股関節裂隙の狭小化
解説
棘果長だけ左が短く転子果長は同じなので左股関節が原因です。
下肢長の計測では、棘果長(上前腸骨棘から内果まで)と転子果長(大転子から外果まで)を比べ、差がどこで生じているかを区切って考えます。転子果長には股関節が含まれず、棘果長には股関節が含まれる、という点が判断の軸です。
表では棘果長が右84.0 cm、左82.0 cmで、左が2 cm短くなっています。一方、転子果長は左右とも80.5 cm、大腿長も44.5 cm、下腿長も36.0 cmで差がありません。大転子より下の大腿骨・膝・下腿・足関節までの長さは左右で同じなので、差は大転子より上、つまり骨盤から大腿骨頭・頸部を含む股関節の部分で生じていると読めます。左股関節の関節裂隙が狭くなる(変形性股関節症などで軟骨がすり減る)と、骨頭が上方へずれて棘果長だけが短くなります。
膝関節や足関節の変化、膝の屈曲拘縮は大転子より下の区間にかかるため、転子果長や大腿長・下腿長にも差が出るはずです。棘果長だけに差があれば股関節、転子果長にも差があれば大腿骨より下、と区間で見分けるのがこの計測の使い方です。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2左膝関節裂隙の狭小化:膝の関節裂隙がせまくなれば大腿骨と脛骨の間が詰まり、大転子から外果までを測る値も左で小さくなります。実際はどちらも80.5 cmで、そうした変化は見られません。
- 3左足関節裂隙の狭小化:足関節は内果・外果より下にあるため、足関節裂隙の変化は棘果長にも転子果長にもほとんど影響しません。左だけ棘果長が短い理由になりません。
- 4左膝関節屈曲位拘縮:膝が曲がったまま伸びないと、膝をはさむ区間の見かけの長さが短くなり、転子果長にも差が出ます。転子果長が同じなので、この拘縮は合いません。
- 5左足関節底屈位拘縮:足関節の底屈位拘縮は計測の目印である内果・外果より遠位の問題で、棘果長だけを2 cm短くする原因にはなりません。
出典:第61回 理学療法士国家試験 午後(厚生労働省)問6(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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