第60回 午後 問43
臨床医学
F波に関する問題
神経伝導検査でF波の潜時延長と出現率減少がみられる疾患はどれか。
- 1Guillain-Barré症候群
- 2Parkinson病
- 3重症筋無力症
- 4進行性核上性麻痺
- 5多系統萎縮症
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✓ これが正解1Guillain-Barré症候群
解説
F波の潜時延長と出現率減少は、Guillain-Barre症候群でみられます。
F波は、末梢神経を電気で刺激したとき、その刺激がいったん脊髄の運動神経細胞まで逆向きに伝わり、そこで折り返して筋に届くことで現れる小さな波です。神経の根元に近い部分(近位部)や神経根を通るため、近位部の障害を調べるのに役立ちます。脱髄で伝わる速さが落ちると潜時が延び、伝導が途絶えると出現率が下がります。
Guillain-Barre症候群は、かぜや下痢の後に免疫の異常で末梢神経が障害され、手足の力が急に弱くなる病気です。脱髄が神経根などの近位部に起こりやすく、早い時期から、F波の潜時の延長や出現率の減少がみられるのが特徴です。
他の病気は末梢神経の病気ではありません。Parkinson病、進行性核上性麻痺、多系統萎縮症は脳の神経細胞の変性による中枢神経の病気で、末梢神経の伝導は通常は保たれています。重症筋無力症は神経と筋のつなぎ目(神経筋接合部)の病気で、神経の伝導そのものは正常です。
したがって、F波に異常がみられる疾患はGuillain-Barre症候群です。F波は末梢神経の近位部の検査、と位置づけると、末梢神経の病気を選べば良いと判断できます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2Parkinson病:Parkinson病はドパミン神経の変性による脳の病気で、手足へ向かう神経線維そのものは傷みません。刺激が脊髄で折り返して戻る波の遅れや減少は、この病気の所見として挙がりません。
- 3重症筋無力症:重症筋無力症は、神経から筋への信号を受け取る受容体が自己抗体で妨げられる神経筋接合部の病気です。神経の伝導は正常で、反復刺激で筋の反応が徐々に小さくなることが特徴です。
- 4進行性核上性麻痺:進行性核上性麻痺は、脳幹や大脳基底核の神経細胞が変性する病気で、眼球運動の障害や転倒しやすさが特徴です。末梢神経の病気ではないため、F波の異常はみられません。
- 5多系統萎縮症:多系統萎縮症は、小脳や大脳基底核、自律神経系などが変性する中枢神経の病気です。末梢神経の伝導は通常は保たれており、F波の潜時延長や出現率の減少は特徴ではありません。
出典:第60回 理学療法士国家試験 午後(厚生労働省)問43(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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