第60回 午後 問7
理学療法治療学
30歳の男性。右腱板損傷の修復術後6か月。図に示す方法で等張性筋力増強運動を行っている。このトレーニングで対象となる筋はどれか。
運動の図:
- 腹臥位でベッドに伏せ、右上肢をベッドの外へ真横に伸ばし(肩関節約90度外転位)、肘伸展位で母指を上に向けてダンベルを握る。
- 矢印は上肢を床側から天井方向へ持ち上げる向き。
- 1烏口腕筋
- 2棘下筋
- 3小胸筋
- 4前鋸筋
- 5大胸筋
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✓ これが正解2棘下筋
解説
腹臥位で外転位の上肢を水平外転する運動は棘下筋を鍛えます。
腱板(ローテーターカフ)は、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4つの筋で、上腕骨頭を関節窩に引き付けて肩関節を安定させます。どの筋を鍛える運動かは、開始の肢位と動かす方向が、その筋の作用と一致するかで判断します。
図では、腹臥位で右上肢をベッドの外へ真横に伸ばした肩関節約90度外転位で、母指を上に向けたまま上肢を床側から天井方向へ持ち上げています。これは肩関節の水平外転(水平伸展)で、母指を上に向けることで上腕は外旋寄りになります。棘下筋は肩甲骨の棘下窩から上腕骨の大結節に付き、肩関節の外旋と水平外転に働くので、この運動の主な対象になります。
他の筋は作用の向きが合いません。烏口腕筋と大胸筋は上腕を前方や内側へ動かす筋で、小胸筋と前鋸筋は肩甲骨を前方へ動かす筋です。
したがって対象となる筋は棘下筋です。上肢を後ろへ引き上げる運動は肩の後面の筋、とくに外旋筋の腱板を鍛える、と動きの向きで覚えると見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1烏口腕筋:烏口腕筋は烏口突起から上腕骨の内側に付き、肩関節の屈曲と内転に働きます。上肢を後方の天井方向へ引き上げる水平外転とは作用が逆向きなので、この運動の対象ではありません。
- 3小胸筋:小胸筋は肋骨から肩甲骨の烏口突起に付き、肩甲骨を前下方へ引く筋です。上腕骨には付かないため、上肢を外転位から後方へ持ち上げる運動の主動作筋にはなりません。
- 4前鋸筋:前鋸筋は肩甲骨を胸郭に沿って前方へ引き出し、上方回旋させる筋です。腹臥位で上肢を後方へ引き上げる動きは肩甲骨を内側へ寄せる方向なので、前鋸筋を鍛える運動とは向きが合いません。
- 5大胸筋:大胸筋は肩関節の水平内転と内旋に働き、上肢を体の前で内側へ寄せる筋です。図の運動は水平外転なので、大胸筋はむしろ引き伸ばされる側で、対象となる筋ではありません。
出典:第60回 理学療法士国家試験 午後(厚生労働省)問7(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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