第58回 午後 問18
理学療法治療学
肺部分切除術に関する問題
46歳の男性。右中葉肺がん。入院して化学療法と放射線療法を行い、来月に胸腔鏡下肺部分切除術を予定している。6分間歩行距離は560 mで、経皮的動脈血酸素飽和度は95 %以上に保たれ、ADLは全て自立している。正しいのはどれか。
- 1術前から咳嗽練習を行う。
- 2術前から上部胸式呼吸の練習を行う。
- 3術前はベッド上の安静に努める。
- 4術後1週はベッド上での体位排痰法を中心に行う。
- 5術後3か月は修正Borg指数で2程度の運動療法を行う。
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✓ これが正解1術前から咳嗽練習を行う。
解説
肺切除の術後に痰を出せるよう、術前から咳嗽練習をしておきます。
この問は、肺がんの手術の前後に行う理学療法(周術期リハビリテーション)の考え方で判断します。手術のあとは痛みや麻酔の影響で深く息を吸ったり痰を出したりしにくくなり、無気肺や肺炎といった術後の肺合併症が起こりやすくなります。そこで術前のうちに、効果的な咳や痰の出し方を練習しておくことが大切です。
この患者は6分間歩行距離が560 mで、動脈血の酸素飽和度も保たれ、ADLも自立しています。全身状態がよく、術前から体を動かすことも十分にできる状況です。
上部胸式呼吸は肩や首の筋を使う浅い呼吸で、術前に練習するのは横隔膜を使う腹式の深呼吸です。術前に安静を続けると体力が落ちます。術後は早くから起き上がり歩くことが基本で、ベッド上の排痰を中心にするのは古いやり方です。術後3か月なら、修正Borg指数2程度より強めの運動にも取り組めます。術前に練習し、術後は早く動く、という流れで覚えると整理しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2術前から上部胸式呼吸の練習を行う。:上部胸式呼吸は肩や首の補助呼吸筋に頼る浅い呼吸で、換気の効率がよくありません。術前に身につけるべきなのは、横隔膜を使ってゆっくり深く吸う呼吸法です。
- 3術前はベッド上の安静に努める。:術前に安静を続けると、体力や筋力が落ちて術後の回復が遅れます。この患者は歩行能力が高くADLも自立しているので、術前から活動を保つほうが合っています。
- 4術後1週はベッド上での体位排痰法を中心に行う。:術後1週間をベッド上で過ごすと、肺合併症や筋力低下が起こりやすくなります。術後は早期から座る・立つ・歩くを進め、その中で痰の排出を促すのが基本です。
- 5術後3か月は修正Borg指数で2程度の運動療法を行う。:修正Borg指数2は軽い程度のきつさで、術後3か月の時点では運動量として少なすぎます。全身状態が保たれていれば、もう少しきつさを感じる程度の運動へ進めます。
出典:第58回 理学療法士国家試験 午後(厚生労働省)問18(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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