第60回 午後 問6
人間発達学
脳性麻痺に関する問題
5歳の男児。脳性麻痺による痙直型四肢麻痺である。背臥位で図のような姿勢を示す。影響しているのはどれか。
姿勢の図:
- 背臥位。顔は一側を向いている。
- 顔が向いている側の上肢は肘を伸ばして体側に伸展し、反対側(後頭側)の上肢は肘を屈曲して頭の横に挙げている。
- 顔が向いている側の下肢は伸展位、反対側の下肢は股関節・膝関節屈曲位。
- 1Moro反射
- 2陽性支持反射
- 3緊張性迷路反射
- 4対称性緊張性頸反射
- 5非対称性緊張性頸反射
答えと解説を見る
✓ これが正解5非対称性緊張性頸反射
解説
顔の向く側の上下肢が伸び、反対側が曲がる姿勢はATNRです。
脳性麻痺では、本来は乳児期に統合されていく原始反射や姿勢反射が残り、姿勢を支配することがあります。どの反射が働いているかは、何の刺激で、どの方向に、どの部位の筋緊張が変わるかを図と照らし合わせて判断します。
図の子どもは背臥位で顔を一側に向け、顔が向いた側の上肢と下肢は伸展し、後頭側の上肢と下肢は屈曲しています。頸部の回旋という刺激で、左右非対称に伸展と屈曲が分かれるこの形は、非対称性緊張性頸反射(ATNR)の典型像で、フェンシングの構えにたとえられます。
他の反射は刺激や反応の形が違います。Moro反射は頭部の落下や大きな音で上肢が開いてから抱きつくように閉じる一過性の反応です。陽性支持反射は足底への接地刺激で下肢が伸展する反射、緊張性迷路反射は頭部の空間での向きで全身の屈筋・伸筋の緊張が変わる反射、対称性緊張性頸反射は頸部の屈曲・伸展で上下肢が対称的に反応する反射です。
左右で非対称な姿勢をとり、きっかけが顔の向きであれば非対称性緊張性頸反射と判断します。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1Moro反射:Moro反射は頭部が急に後方へ落ちる刺激や大きな音で、上肢を開いた後に抱え込むように閉じる一過性の反応です。顔の向きに応じて持続する左右非対称の姿勢とは異なります。
- 2陽性支持反射:陽性支持反射は足底が床に触れる刺激で下肢が伸展し、体重を支える形になる反射です。背臥位で顔の向きに合わせて上下肢の肢位が左右で分かれる図の姿勢は説明できません。
- 3緊張性迷路反射:緊張性迷路反射は頭部の空間での位置で働き、背臥位では全身の伸筋緊張が高まる形が典型です。反応は左右対称で、顔を向けた側と後頭側で肢位が分かれる図の姿勢とは合いません。
- 4対称性緊張性頸反射:対称性緊張性頸反射は頸部の屈曲や伸展によって上肢と下肢が左右対称に屈曲・伸展する反射です。頸部の回旋で左右が逆の肢位になる図の姿勢は、この反射の形ではありません。
出典:第60回 理学療法士国家試験 午後(厚生労働省)問6(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)