第61回 午後 問8
理学療法治療学
生活指導で正しいの
70歳の女性。COPD。自宅療養中でADLは自立しているが、自宅内の動作でたびたび息切れが生じている。呼吸困難感を減少させる生活指導で正しいのはどれか。
- 1寝具は布団にする。
- 2階段では吸気時に昇段する。
- 3洗濯物は肩よりも低い位置に干す。
- 4荷物は前かがみの姿勢で持ち上げる。
- 5浴室に低いシャワーチェアを設置する。
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✓ これが正解3洗濯物は肩よりも低い位置に干す。
解説
COPDでは腕を肩より上げない動作にすると息切れが減ります。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)の生活指導では、呼吸補助筋に余計な負担をかけない、呼気に合わせて動く、腹部を圧迫しない、という3つの原則で動作を見直します。
腕を肩より高く上げる動作では、肩甲帯や頸部の筋が上肢を支えるのに使われ、本来は呼吸を助ける呼吸補助筋として働けなくなります。そのため、洗濯物を干す、棚に物を置くといった上肢挙上の動作は息切れを強めやすく、物干しの高さを肩より低くするのは理にかなった工夫です。
布団は床からの立ち上がりで体を大きく曲げる必要があり、ベッドのほうが負担は少なくなります。階段は呼気(口すぼめ呼吸で吐きながら)に合わせて昇るのが原則で、吸気時に昇ると息をこらえる形になりやすいです。前かがみで荷物を持ち上げると腹部が圧迫されて横隔膜が動きにくくなり、低いシャワーチェアも同じく前屈姿勢を強めます。腕を上げない、吐きながら動く、お腹を押しつぶさない、の3点を基準にすると、ほかの生活場面にも応用できます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1寝具は布団にする。:布団では寝起きのたびに床から立ち上がる必要があり、体幹の深い屈曲や上肢での支えが増えて息切れを招きます。COPDでは一般にベッドのほうが動作の負担は小さくなります。
- 2階段では吸気時に昇段する。:階段では息を吐きながら昇段し、吸うときは止まるのが基本です。吸気時に足を上げると息こらえや呼吸の乱れが起きやすく、呼吸困難を強めます。
- 4荷物は前かがみの姿勢で持ち上げる。:前かがみで物を持ち上げると腹部が圧迫され、横隔膜の動きが妨げられます。膝を曲げて体の近くで持つ、呼気に合わせるなどが推奨されます。
- 5浴室に低いシャワーチェアを設置する。:低い椅子では体幹を深く曲げた姿勢で洗体することになり、腹部の圧迫で息切れが強まります。座面がある程度高いシャワーチェアのほうが楽に動作できます。
出典:第61回 理学療法士国家試験 午後(厚生労働省)問8(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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