第58回 午前 問8
理学療法治療学
鎖骨骨幹部骨折に関する問題
53歳の女性。自転車走行中に転倒受傷し、鎖骨骨幹部骨折に対して観血的整復固定術が施行された。術後のエックス線写真(別冊No. 2)を別に示す。術後翌日の患側の理学療法で正しいのはどれか。
〔別冊No.2〕術後のエックス線写真(本文だけで成立する:術式が本文にある)
- 1手指運動を行う。
- 2患部に超音波療法を行う。
- 3肩関節挙上の等張性運動を行う。
- 4全身の安静のためベッド上で行う。
- 5他動で肩関節の可動域練習を行う。
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✓ これが正解1手指運動を行う。
解説
術後翌日は患部から離れた手指の運動から始めます。
骨折の手術の翌日は、創部の痛みや腫れが強く、固定した部分を大きく動かす段階ではありません。この時期の理学療法は、患部に負担をかけずに、患部から離れた関節の運動で循環を保ち、こわばりや廃用を防ぐことが中心になります。
鎖骨骨幹部骨折に観血的整復固定術を行った患者で、患側の手指を動かすことは、鎖骨の固定部にほとんど力がかからず、手のむくみの予防にも役立ちます。したがって手指運動を行うのが正しい対応です。
肩関節を大きく挙上したり他動的に動かしたりする運動、患部への物理療法、全身をベッド上で安静にする対応は、いずれも術後翌日の対応として適切とはいえません。術後早期は、固定部から遠い関節の運動から始め、固定部に近い関節は段階を追って進める、という順番で覚えておくと整理しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2患部に超音波療法を行う。:術後翌日の患部は創が新しく、内部に金属の固定材が入っています。この時期に患部へ超音波療法を当てる理由はなく、まずは患部以外の運動で循環を保つことを優先します。
- 3肩関節挙上の等張性運動を行う。:肩関節を挙上する等張性運動は、鎖骨に付く筋を強く働かせ、固定した骨折部にも力が伝わります。術後翌日の段階で行う運動としては負担が大きすぎます。
- 4全身の安静のためベッド上で行う。:全身の安静をとる必要はなく、骨折は鎖骨の一か所です。ベッド上にとどめると下肢や体幹の廃用が進むため、離床を進めながら患側上肢は段階的に動かしていきます。
- 5他動で肩関節の可動域練習を行う。:肩関節を他動で大きく動かすと、創部の痛みを強め、固定部にも負担がかかります。術後翌日は肩より遠い手指などの運動から始めるのが順当です。
出典:第58回 理学療法士国家試験 午前(厚生労働省)問8(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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