第60回 午後 問12
理学療法治療学
深部感覚に関する問題
58歳の男性。胸髄の脊髄腫瘍摘出術後、両下肢に明らかな運動麻痺、表在感覚障害はないが、深部感覚に重度鈍麻がみられた。開眼すると立位保持可能だが、閉眼するとふらついて倒れそうになる。また、歩行時にもふらつきがあり、踵打歩行が認められる。運動療法で適切なのはどれか。
- 1Buerger体操
- 2Codman体操
- 3Frenkel体操
- 4Klapp体操
- 5Williams体操
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✓ これが正解3Frenkel体操
解説
深部感覚障害による失調には、Frenkel体操が適しています。
この症例は、運動麻痺や表在感覚障害はないのに深部感覚が重度に鈍くなり、開眼では立てても閉眼するとふらつき、踵打歩行がみられます。これは、関節の位置や動きの情報が脊髄の後索を通って届かなくなったために起こる脊髄性(感覚性)運動失調の特徴です。目で見て補っている間は保てても、視覚を遮ると崩れるのが見分けるポイントです。
Frenkel体操は、こうした失調症に対し、視覚で自分の手足の動きを確かめながら、簡単な動きから複雑な動きへ、ゆっくりから正確に、と段階的に繰り返す協調性の訓練です。失われた深部感覚の情報を視覚で代わりに補い、動きを再学習させるねらいがあるので、この症例に最も合います。
他の体操は目的が異なります。Buerger体操は下肢の末梢循環障害、Codman体操は肩関節の疾患、Klapp体操は脊柱側弯症、Williams体操は腰痛に対する運動です。
したがって、適切な運動療法はFrenkel体操です。閉眼で悪化する失調は深部感覚の障害で、視覚で補うFrenkel体操、と結び付けて覚えると整理できます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1Buerger体操:Buerger体操は、下肢の挙上と下垂を繰り返して末梢の血流を促す体操で、閉塞性動脈硬化症などの末梢循環障害に用います。深部感覚障害による失調を改善する目的の運動ではありません。
- 2Codman体操:Codman体操は、体幹を前に倒して上肢を垂らし、振り子のように揺らす運動で、肩関節周囲炎などの肩関節の疾患に用います。下肢の深部感覚障害による失調には効果が期待できません。
- 4Klapp体操:Klapp体操は四つ這いの姿勢で体幹を動かす運動で、脊柱側弯症に対して行われてきた体操です。深部感覚の障害を視覚で補って協調性を高める目的のものではありません。
- 5Williams体操:Williams体操は腰椎の前弯を減らす屈曲運動を中心とした腰痛体操です。腰痛の改善を目的とするもので、脊髄性運動失調の協調性訓練としては適しません。
出典:第60回 理学療法士国家試験 午後(厚生労働省)問12(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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