令和4年度 秋期 午前Ⅱ 問20
プロジェクトの調達
定額契約に関する問題
IoT を活用した工場管理システムの開発を行う。システムを構築し,サービスを運営する A 社は,B 社にボード開発を定額契約で委託した。B 社はボードの納入前のネットワーク試験のため,工場の設備を管理する C 社と実費償還契約を締結し,工場の一部区画とネットワークを借用した。C 社のネットワーク設備に故障はなく,B 社の人的リソース不足が原因でネットワーク試験の作業が遅延し,追加の費用が発生したとき,その費用を負担すべき会社はどれか。ここで,各社は契約を正当に履行するものとする。また,定額契約を交わした時点では,開発のスコープは十分明確で,契約以降の変更はないものとする。
- アA 社
- イA 社及び B 社
- ウB 社
- エB 社及び C 社
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✓ これが正解ウB 社
解説
B 社自身の人的リソース不足による遅延なので、費用は B 社が負担します。
費用の負担は、契約の種類と遅延の原因の両方から判断します。A 社と B 社の契約は定額契約で、スコープは十分明確でその後の変更もないので、B 社は決められた金額で約束した成果物を納める責任を負います。この契約の中で生じた費用の超過は、受託者である B 社が負担するのが定額契約の考え方です。一方、B 社と C 社の契約は実費償還契約で、B 社は C 社にかかった実費を支払う側です。今回の遅延は C 社の設備の故障ではなく B 社の人的リソース不足が原因なので、追加の費用は B 社が負担し、A 社に求めることもできません。定額契約では受託側の事情による超過は受託側の負担、と押さえると判断できます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- アA 社:A 社は B 社と定額契約を結んでおり、スコープも明確で変更がないので、契約金額を超える費用を負担する理由がありません。遅延の原因も B 社の人的リソース不足であり、発注者である A 社の責任ではありません。
- イA 社及び B 社:定額契約では、受託者の事情で生じた費用の超過を発注者に分担させることはできません。A 社に原因がなく、スコープの変更もない以上、A 社が費用の一部を負担する組合せは成り立ちません。
- エB 社及び C 社:C 社のネットワーク設備に故障はなく、C 社は契約を正当に履行しています。B 社と C 社の実費償還契約では、かかった費用は B 社が C 社に支払う側なので、C 社が追加の費用を負担することはありません。
この問題の用語
- スコープそのプロジェクトでやること、やらないことの範囲を指します。範囲を漏れなく分けて並べたものがWBSになります。
- 契約当事者の合意で成立する法的な約束のこと。原則として口頭でも成立し、契約書は内容を確かめる証拠になります。
- 作業工程を組み立てる、一つひとつの仕事の単位のことです。開始と終了、所要日数をもち、順序をつないで全体の日程を作ります。
出典:令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問20
同じ用語が出る問題
- 令和7年度 秋期 午前Ⅱ 問4:スコープクリープに関する問題(スコープ)
- 令和7年度 秋期 午前Ⅱ 問3:回帰分析の説明(スコープ)
- 令和6年度 秋期 午前Ⅱ 問21:ベンダー間の契約についての記述(契約)
- 令和6年度 秋期 午前Ⅱ 問20:実費償還契約に関する問題(契約)
- 令和6年度 秋期 午前Ⅱ 問1:プロジェクト憲章に関する問題(スコープ)
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