令和2年度 問1
民法
直系尊属に関する問題
土地甲を所有するAが死亡した場合に、甲の相続に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、Aには配偶者B、子C、直系尊属の父Dのみがいるものとする。
- 1AとCは同乗する飛行機の墜落事故で死亡したが、AとCのどちらが先に死亡したか明らかでない場合は、Dの相続分は2分の1である。
- 2Aが死亡した後に、Cが交通事故で死亡した場合には、Bのみが甲を相続する。なお、Cには配偶者及び直系卑属はいないものとする。
- 3Aが死亡する前に、Cが交通事故で死亡していた場合には、Bの相続分は2分の1である。
- 4BとCが法定相続分に従い甲を共同相続したが、その後、Cが甲の共有持分を放棄した場合には、その持分は国庫に帰属する。
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✓ これが正解2Aが死亡した後に、Cが交通事故で死亡した場合には、Bのみが甲を相続する。なお、Cには配偶者及び直系卑属はいないものとする。
解説
Aの後にCが亡くなれば、Cの取り分も親のBへ行き、甲はBだけが相続します。
この問は、民法の相続人の順位と法定相続分、同時死亡の推定、共有持分の放棄の決まりで判断します。子は相続人となり(第887条)、子がいないときに直系尊属が相続人になります(第889条)。配偶者は常に相続人で、子と配偶者なら各2分の1、配偶者と直系尊属なら配偶者3分の2・直系尊属3分の1です(第900条)。
正しいのは、Aの死亡後にCが交通事故で亡くなった場面です。Aが亡くなった時点ではCは生きているので、甲はBとCが2分の1ずつ相続します。その後にCが亡くなると、配偶者も直系卑属もいないCの相続人は直系尊属です。親等の近い者が先になるので、Cの親であるBが相続し、祖父にあたるDは相続人になりません。結局、甲はBだけが取得します。
ほかの場面も確かめます。AとCのどちらが先に死亡したか明らかでないときは同時に死亡したものと推定され(第32条の2)、CがAより先に死亡したときと同じく、CはAの相続人になりません。問題文の前提ではCに子はいないので、相続人はBとDになり、Bは3分の2、Dは3分の1です。また、共有者の一人が持分を放棄すると、その持分は国庫ではなく他の共有者に帰属します(第255条)。
だれがどの時点で生きていたかを並べ、亡くなった人ごとに相続を分けて考えると見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1AとCは同乗する飛行機の墜落事故で死亡し…:同時に死亡したと推定されると、AとCの間では相続が起こりません。Aの相続人は配偶者Bと父Dの二人になり、この組合せでの直系尊属の取り分は3分の1なので、2分の1とする記述は誤りです。
- 3Aが死亡する前に、Cが交通事故で死亡して…:Cが先に亡くなっており、Cには子もいないので、Cの立場を引き継ぐ代襲相続は起こりません。Aの相続人は配偶者Bと父Dで、配偶者の取り分は3分の2です。2分の1は子と配偶者が相続する場合の割合です。
- 4BとCが法定相続分に従い甲を共同相続した…:BとCの共有になった甲について、Cが持分を放棄した場面です。民法は、放棄された持分は他の共有者に帰属すると定めているので、Cの持分はBのものになり、国庫に帰属するとする記述は誤りです。
出典:令和2年度 管理業務主任者試験(一般社団法人マンション管理業協会)問1
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