令和8年度上期第三種電気主任技術者試験 電力(電気技術者試験センター)問2
電力
包蔵水力に関する問題
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ある地域の面積が6 500 km²,平均海抜750 m で,この地域の年間降水量を1 100 mm としたとき,この地域全体での理論的包蔵水力(電力量換算値[TW・h])として最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし,包蔵水力の計算において,その地域の水の流出係数を1 とする。
- 11.7
- 26.0
- 330
- 4150
- 515
答えと解説
✓ これが正解515
解説
降水の位置エネルギーを電力量に直すと約14.6 TW・hで、15です。
包蔵水力とは、ある地域に降る水がもつ位置エネルギーを、すべて発電に使えるとしたときの電力量で表したものです。流出係数が1なので、降った水がすべて川に流れ出るとみなし、その水が平均海抜の高さから海面まで落ちるときの位置エネルギー W=mgH を求めます。
まず年間の降水の体積は、面積6 500 km²=6.5×10⁹ m²に、年間降水量1 100 mm=1.1 mを掛けて、6.5×10⁹×1.1=7.15×10⁹ m³です。水の密度を1 000 kg/m³とすると質量は7.15×10¹² kgです。重力加速度を9.8 m/s²として、W=mgH=7.15×10¹²×9.8×750≒5.26×10¹⁶ Jとなります。1 kW・h=3.6×10⁶ Jなので、5.26×10¹⁶÷(3.6×10⁶)≒1.46×10¹⁰ kW・h、1 TW・h=10⁹ kW・hより約14.6 TW・hです。
別の方法で確かめると、1年間の平均流量は7.15×10⁹÷(8 760×3 600)≒227 m³/sで、出力P=9.8QH=9.8×227×750≒1.67×10⁶ kWとなり、これに8 760 hを掛けても約1.46×10¹⁰ kW・hに着きます。選択肢のうち14.6 TW・hに最も近いのは15です。
km²からm²へは10⁶倍、mmからmへは10⁻³倍、Jから kW・hへは3.6×10⁶で割る、という三つの換算で桁を落とさないことが、この種の計算の決め手です。
ほかの選択肢の解説
- 11.7:1.7は、年間の平均流量から求めた出力約1.67×10⁶ kW(1.67 GW)の数字です。問われているのは1年分の電力量なので、これに8 760時間を掛ける必要があり、出力のまま答えると単位も桁も合いません。
- 26.0:6.0 TW・hは、正しく求めた約14.6 TW・hの半分にも届かない数字です。面積・降水量・平均海抜のどの数値の扱いを取り違えても、本問の条件からこの値を導く筋道はなく、当てはまりません。
- 330:30 TW・hは、正しい値の約14.6 TW・hのおよそ2倍にあたる数字です。流出係数1の条件で位置エネルギーを求める式には2倍になる要素がなく、本問の条件からはこの値は導けません。
- 4150:150は、年間降水量1 100 mmを11 mと取り違えて計算したときに出る約146 TW・hに当たる数字です。mmからmへは1 000で割るので1.1 mが正しく、10倍に大きくなった値は誤りです。
出典:令和8年度上期第三種電気主任技術者試験 電力 問2(電気技術者試験センター)。1問ずつ解ける形に加工しています(B問題の共通の文と図を小問ごとに複写・図と式を問題冊子から切り出して画像で掲載・1行で書ける式を字に書き直し)。解説は当サイト独自のもので、電気技術者試験センターとは関係ありません。
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