第38回 問題106
保健医療と福祉
我が国の「臓器の移植に関する法律」に基づいた臓器提供に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
- 1臓器提供者の書面による意思表示及び家族の承諾が必要である。
- 2脳死状態での臓器提供は認められていない。
- 3死体移植件数より生体移植件数の方が多い。
- 4臓器売買は,日本人が海外で行った場合は処罰対象とならない。
- 5臓器提供者と移植患者に関する情報は相互に共有される。
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✓ これが正解3死体移植件数より生体移植件数の方が多い。
解説
日本の臓器移植は、死体からより生体からの移植件数の方が多い。
臓器の移植に関する法律(臓器移植法)は、脳死した者の身体を含む死体からの臓器の摘出の要件、臓器売買の禁止などを定めています。この問は、法の定めと、日本の移植の実態を組み合わせて判断します。
日本では、亡くなった人からの臓器提供が諸外国と比べて少なく、腎臓や肝臓の移植の多くが、家族などの生きている人から臓器の一部の提供を受ける生体移植で行われています。そのため移植件数は、死体移植より生体移植の方が多くなっています。この実態を述べた記述が正しい記述です。
法の定めをみると、2009年の改正(2010年施行)により、本人が生前に書面で提供の意思を示している場合に加え、本人の意思が不明な場合でも、家族(遺族)が書面で承諾すれば臓器を摘出できるようになりました。したがって、本人の書面の意思表示と家族の承諾の両方が常に必要というわけではありません。脳死した者の身体からの提供も法で認められています。臓器売買は禁止され、日本人が国外で行った場合も処罰の対象とされています。また、提供者と移植を受けた患者の個人情報は、互いに伝えないことが原則です。
臓器移植法の問は、本人の意思が不明でも家族の書面承諾で提供できる、という2009年改正の要点を軸にすると見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1臓器提供者の書面による意思表示及び家族の承諾が必要である。:2009年の法改正により、本人が提供を拒む意思を示していない限り、本人の意思が分からない場合でも遺族の書面による承諾で臓器を摘出できるようになりました。本人の書面の意思表示が常に必要なわけではありません。
- 2脳死状態での臓器提供は認められていない。:臓器移植法は、摘出の対象となる死体に脳死した者の身体を含むと定めています。脳死下での臓器提供は法律に基づいて認められており、実際に行われています。
- 4臓器売買は,日本人が海外で行った場合は処罰対象とならない。:臓器売買は臓器移植法で禁止され、日本人が国外で臓器売買をした場合も処罰の対象となります。いわゆる移植ツーリズムへの対応として国外での行為も罰せられるので、記述は誤りです。
- 5臓器提供者と移植患者に関する情報は相互に共有される。:提供者の家族と移植を受けた患者の個人を特定する情報は、互いに知らせないのが原則です。プライバシーを守り、提供が見返りを伴うものにならないようにするためで、相互に共有されるわけではありません。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題106。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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