第37回 問題80
社会福祉調査の基礎
調査における倫理に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1調査者と対象者との利害関係についての検討は不要である。
- 2調査の目的や対象等に関する倫理審査は,調査終了後に行う必要がある。
- 3対象者本人について調べる場合,対象者の認知機能を考慮することは不要である。
- 4調査が対象者に及ぼす心理的な影響については,検討する必要がある。
- 5想定していた結果と異なるデータは,削除する必要がある。
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✓ これが正解4調査が対象者に及ぼす心理的な影響については,検討する必要がある。
解説
調査が対象者に与える心理的な影響は、前もって検討しておく必要があります。
社会福祉調査では、対象者の人権やプライバシーを守り、調査によって不利益を与えないことが基本になります。調査に協力することで、対象者がつらい経験を思い出したり、不安やプレッシャーを感じたりすることもあるため、調査の計画の段階から倫理的な配慮を検討しておく必要があります。
調査の倫理では、調査の目的や方法を十分に説明し、自由な意思で協力するかどうかを決めてもらうこと(インフォームド・コンセント)、協力を断っても不利益がないこと、途中でやめられること、個人情報を適切に管理することなどが求められます。そのうえで、質問の内容や聞き方によって対象者にどのような心理的な負担が生じるかを考え、負担を減らす工夫や、負担が生じたときの対応を用意しておくことが大切です。したがって、調査が対象者に及ぼす心理的な影響については検討する必要があるとする記述が最も適切です。
ほかの記述は、いずれも調査の倫理の基本と逆の内容です。見分け方は、調査者は対象者を守る立場にあること、倫理審査は実施の前に受けること、データはありのまま扱うこと、という3つの原則に照らして判断することです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1調査者と対象者との利害関係についての検討は不要である。:調査者と対象者の間に、支援する側とされる側のような利害関係があると、対象者は協力を断りにくくなり、回答もゆがむおそれがあります。利害関係は事前に検討すべき倫理上の課題です。
- 2調査の目的や対象等に関する倫理審査は,調査終了後に行う必要がある。:倫理審査は、調査の目的や対象、方法が倫理的に適切かどうかを、調査を始める前に確かめるためのものです。調査が終わった後に行っても、対象者を不利益から守るという役割を果たせません。
- 3対象者本人について調べる場合,対象者の認知機能を考慮することは不要である。:認知機能が低下している人を対象とする場合は、説明の理解や同意の能力に配慮し、わかりやすい説明や代諾者の関与などを検討する必要があります。認知機能を考えなくてよいという記述は誤りです。
- 5想定していた結果と異なるデータは,削除する必要がある。:想定と異なるデータを削除することは、結果を都合よく作り変える改ざんにあたり、研究不正です。データはありのまま扱い、想定と違う結果もそのまま分析して報告することが求められます。
出典:第37回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題80。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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