第40回 午後 問182
応用力試験
経鼻胃管栄養法に関する問題
次の文を読み「181」、「182」、「183」に答えよ。
K総合病院の管理栄養士である。
患者は、75歳、独居女性。2か月前から、足腰の痛みがあり、買い物など外出の頻度は減り、食欲も低下していた。隣の県に住む娘が、毎週、様子を見に訪ね、食べ物を渡していた。飲水以外にほとんど食べていない日も時々あることに気付き、心配していた。こうした中、娘がいつものように患者宅を訪ねると、患者は布団から起き上がれないまま、ぐったりしていた。
救急搬送後、腰椎圧迫骨折と診断され、入院となった。意識レベルはJCSⅡ─20。
身長150 cm、入院時の体重38 kg(2か月前の体重42 kg)、BMI 16.9 kg/m²。空腹時の血液検査値は、アルブミン2.6 g/dL、血糖138 mg/dL、尿素窒素38 mg/dL、クレアチニン1.3 mg/dL、ナトリウム138 mEq/L、カリウム3.1 mEq/L、リン1.8 mg/dL。
患者は、救急搬送されるまでの2日間、飲まず食わずで倒れていたことが判明した。輸液療法が行われ意識は回復したが、改訂水飲みテストは3点、気力や体力もない状態のため、翌日に経鼻胃管栄養法を開始することになった。
経鼻胃管栄養法が開始され、患者の状態は安定した。その日の病棟カンファレンスにおける、他職種への情報共有を目的とした管理栄養士の発言として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- 1経鼻胃管栄養法を開始したので、体重は増加してくるでしょう。
- 2投与速度を厳重に管理していますが、意識障害や電解質の値に注意していきます。
- 3水分も経鼻胃管から補給するので、輸液の投与量は減らすことはできるでしょうか。
- 4エネルギーとたんぱく質を、必要量補給しています。栄養状態の改善を血中アルブミン値で確認していきます。
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✓ これが正解2投与速度を厳重に管理していますが、意識障害や電解質の値に注意していきます。
解説
意識障害と電解質の変化に注意していくことを他職種と共有します。
カンファレンスで管理栄養士が他職種に伝えるべきことは、いま行っている栄養管理の内容と、それに伴って起こり得る危険、そして何を見ていくかです。この患者はリフィーディング症候群(栄養を再開したときに電解質が急に崩れる状態)の危険が高く、そのことをチームで共有することが決め手です。
経鼻胃管栄養法は少量から始めて投与速度を厳しく管理していますが、開始後しばらくは血液中のリン、カリウム、マグネシウムなどが下がりやすく、意識障害や不整脈などが起こり得ます。医師や看護師と、意識の状態と電解質の値に注意していく方針を共有しておけば、異常に早く気づいて対応できます。したがって、この発言が最も適切です。
栄養補給を始めた直後の情報共有では、成果の見通しよりも、起こり得る合併症と観察する項目を優先して伝えると覚えておくと見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1経鼻胃管栄養法を開始したので、体重は増加してくるでしょう。:開始直後は少量から始めている段階で、体重が増えるほどの栄養はまだ入っていません。体重増加の見通しを伝えるより、再栄養に伴う危険と観察点を共有するほうが先です。
- 3水分も経鼻胃管から補給するので、輸液の投与量は減らすことはできるでしょうか。:輸液は電解質の補正や水分の調整にも使われており、その量を決めるのは医師です。開始したばかりの段階で輸液を減らせるかを持ち出すのは、情報共有の目的からも外れています。
- 4エネルギーとたんぱく質を、必要量補給しています。栄養状態の改善を血中アルブミン値で確認していきます。:開始直後は少量から始めているため、エネルギーとたんぱく質の必要量はまだ補給できていません。また、血中アルブミン値は脱水や炎症にも左右され、変化もゆっくりなので、短期間の改善をみる指標には向きません。
出典:第40回 管理栄養士国家試験 午後(厚生労働省)問182(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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