第40回 午後 問133
臨床栄養学
甲状腺機能亢進症に関する問題
32歳、女性。事務職。身長165 cm、体重57 kg、BMI 20.9 kg/m²、標準体重60 kg。2か月で5kgの体重減少がみられ、発汗著明であることから受診した。甲状腺機能亢進症と診断され、治療を開始することになった。この患者の1日当たりの目標栄養量に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
- 1エネルギーは、1,600 kcalとする。
- 2たんぱく質は、80 gとする。
- 3カルシウムは、300 mgとする。
- 4ヨウ素は、4,000 µgとする。
- 5総水分は、1,400 mLとする。
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✓ これが正解2たんぱく質は、80 gとする。
解説
代謝が亢進するので、たんぱく質を多めの80 gとします。
甲状腺機能亢進症では、甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、全身の代謝が高まります。基礎代謝の増加によってエネルギーの消費が増え、たんぱく質の分解も進むため、食べていても体重が減りやすくなります。発汗も多くなります。栄養管理では、増えた消費に見合うよう、エネルギー、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、水分を十分に補うことが基本です。
この患者は2か月で5 kgの体重減少があり、たんぱく質の分解が進んでいると考えられます。たんぱく質は標準体重1 kgあたり1.2〜1.5 g程度が目安とされ、標準体重60 kgでは72〜90 gとなるので、80 gは最も適当です。ほかの目標量は、エネルギー、カルシウム、水分を少なく見積もっているか、ヨウ素を多く設定しすぎているもので、代謝が高まっている病態に合いません。
甲状腺機能亢進症の栄養管理は、代謝が高まって失われるものを多めに補う、ただし甲状腺ホルモンの材料のヨウ素はとりすぎない、と考えると見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1エネルギーは、1,600 kcalとする。:甲状腺機能亢進症では基礎代謝が高まり、エネルギーの消費が増えています。1,600 kcalでは体重の減少がさらに進むおそれがあり、消費の増加に見合うよう、エネルギーは多めに設定します。
- 3カルシウムは、300 mgとする。:甲状腺ホルモンの過剰によって骨の代謝が高まり、骨からカルシウムが失われやすくなります。300 mgでは日本人の食事摂取基準の推奨量にも届かず、十分な量を補う必要があります。
- 4ヨウ素は、4,000 µgとする。:ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料となる栄養素です。4,000 µgのような大量の摂取は日本人の食事摂取基準の耐容上限量を超え、甲状腺の働きにも影響するので、目標量にはなりません。
- 5総水分は、1,400 mLとする。:発汗が著明で代謝も高まっているため、体から失われる水分が増えています。1,400 mLのように少なく設定すると脱水を招くおそれがあり、水分は多めに補う必要があります。
出典:第40回 管理栄養士国家試験 午後(厚生労働省)問133(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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