第40回 午前 問50
食べ物と健康
食品の化学的変化に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
- 1油脂の酸化は、熱により抑制される。
- 2油脂の過酸化物価は、油脂中の遊離脂肪酸量を示す指標である。
- 3トランス脂肪酸は、植物油脂への水素添加により生じる。
- 4N─ニトロソアミンは、食品に含まれる第二級アミンと亜硫酸が反応することで生じる。
- 5ベンゾ[a]ピレンは、魚を煮ることで生じる。
答えと解説を見る
✓ これが正解3トランス脂肪酸は、植物油脂への水素添加により生じる。
解説
植物油に水素を添加して固める工程でトランス脂肪酸が生じます。
食品成分の化学的変化は、何と何が反応して何ができるか、反応を進める条件は何かで判断します。トランス脂肪酸は、液体の植物油に水素を添加して固める部分水素添加の工程で、二重結合の一部がトランス型に変わることで生じます。マーガリンやショートニングの製造が代表例です。
ほかの記述は、条件・指標・反応相手のどれかが入れ替わっています。油脂の酸化は熱や光で進む反応で、過酸化物価は酸化の初期にできる過酸化物の量を見る指標です。N─ニトロソアミンの反応相手は亜硝酸で、ベンゾ[a]ピレンは焼く・いぶすといった高温で有機物が不完全燃焼するときにできます。
したがって、植物油脂への水素添加でトランス脂肪酸が生じるという記述が適当です。油脂の指標は名前の中身で覚え、過酸化物価は過酸化物、酸価は遊離脂肪酸と対にしておくと取り違えません。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1油脂の酸化は、熱により抑制される。:油脂の自動酸化は温度が高いほど速く進みます。揚げ油を繰り返し使うと劣化が早いのはこのためで、熱は酸化を抑える条件ではなく、促進する条件です。
- 2油脂の過酸化物価は、油脂中の遊離脂肪酸量を示す指標である。:遊離脂肪酸の量を示すのは酸価です。過酸化物価は、油脂が酸化したときに最初にできるヒドロペルオキシドなどの過酸化物の量を示し、酸化の初期段階の目安になります。
- 4N─ニトロソアミンは、食品に含まれる第二級アミンと亜硫酸が反応することで生じる。:N─ニトロソアミンは、第二級アミンが亜硝酸と酸性条件で反応して生じます。亜硫酸は漂白剤や酸化防止剤として使われる物質で、ニトロソ化の反応相手ではありません。
- 5ベンゾ[a]ピレンは、魚を煮ることで生じる。:ベンゾ[a]ピレンは多環芳香族炭化水素の一つで、肉や魚を焼く、燻製にするなど高温で有機物が不完全燃焼したときに生じます。水中で煮る程度の温度では生じにくい物質です。
出典:第40回 管理栄養士国家試験 午前(厚生労働省)問50(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)