令和7年度下期第三種電気主任技術者試験 機械(電気技術者試験センター)問16(b)
機械
重なり角に関する問題
選択肢を押すと、その場で答え合わせ。電験三種の過去問 400問を、解説つき・無料・登録不要で続けて解けます。
次の図は,パワー半導体デバイスとしてダイオードを用いた三相整流装置の回路を示す。平滑リアクトルのインダクタンスLd [H]は十分に大きく,直流電流Id [A]は一定になっているものとする。交流側にリアクタンスXL [Ω]のリアクトルがあると転流時に重なり角が生じ,直流電圧が降下する。また,ダイオードの順電圧降下VF [V]によっても直流電圧が降下する。これら以外の電圧降下は無視する。入力交流電圧がVL [V]のときのこの整流装置の出力電圧Vd [V]は次式で求められる。
この整流装置の入力交流電圧はVL=200 V,周波数はf=50 Hz で,直流電流はId=36 A である。交流側のリアクトルのインダクタンスはLL=5.56×10⁻⁴ H で,その抵抗値は平滑リアクトルの抵抗値とともに無視できるものとする。また,各ダイオードの順電圧降下はVF=1.0 V で一定とする。次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(b) 出力電圧Vd の値[V]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 1270
- 2264
- 3263
- 4262
- 5251
答えと解説
✓ これが正解4262
解説
270.1-6.0-2.0≒262 Vで、出力電圧は約262 Vです。
問の式 Vd=(3√2/π)VL-(3/π)XL·Id-2VF は、三相ブリッジで整流した理想的な直流電圧から、交流側リアクトルによる重なり角(転流の間、二つの相のダイオードが同時に導通する期間)の電圧降下と、直列に導通する2個のダイオードの順電圧降下を引いた形です。なお (a) では、ダイオード1個の平均損失が 12 W と求まりました。
まずリアクタンスは XL=2πfLL=2×3.1416×50×5.56×10⁻⁴≒0.1747 Ω です。第1項は (3√2/π)×200≒1.3505×200≒270.1 V、第2項は (3/π)×0.1747×36≒0.9549×6.289≒6.0 V、第3項は 2×1.0=2.0 V です。よって Vd≒270.1-6.0-2.0≒262.1 V で、約 262 V となります。
第2項は (3/π)×2πfLL×Id=6fLL·Id と変形でき、6×50×5.56×10⁻⁴×36≒6.0 V と同じ値で検算できます。
重なり角の電圧降下はリアクタンスと電流に比例し、ダイオードの降下は直列の2個分、と式の各項の意味を押さえておくと取り違えを防げます。
ほかの選択肢の解説
- 1270:270 V は第1項の (3√2/π)×200 だけの値で、リアクトルによる約 6.0 V の降下と、ダイオードによる 2.0 V の降下を両方とも引いていません。
- 2264:264 V は、重なり角による約 6.0 V の降下だけを引き、ダイオードの順電圧降下 2×1.0 V を引き忘れた値です(270.1-6.0≒264.1)。
- 3263:263 V は、ダイオードの順電圧降下を1個分の 1.0 V だけ引いた値です(270.1-6.0-1.0≒263.1)。三相ブリッジでは上下2個のダイオードが直列に導通するので、2VF を引きます。
- 5251:251 V は、式の各項に与えられた数値を入れた計算からは由来を導けない値です。第2項の重なり角による降下は約 6.0 V で、ダイオードの分と合わせても降下は約 8 V にとどまります。
出典:令和7年度下期第三種電気主任技術者試験 機械 問16(b)(電気技術者試験センター)。1問ずつ解ける形に加工しています(B問題の共通の文と図を小問ごとに複写・図と式を問題冊子から切り出して画像で掲載・1行で書ける式を字に書き直し)。解説は当サイト独自のもので、電気技術者試験センターとは関係ありません。
同じ分野の問題
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)