平成31年度 春期 午前 問60
システム監査
指摘事項として記載すべきもの
事務所の物理的セキュリティ対策について,JIS Q 27002:2014(情報セキュリティ管理策の実践のための規範)に基づいて情報セキュリティ監査を実施した。判明した状況のうち,監査人が監査報告書に指摘事項として記載すべきものはどれか。
- ア外部からの荷物の受渡しは,サーバ室などの情報処理施設にアクセスすることなく荷物の積降ろしができる場所で行っている。
- イ機密性の高い情報資産が置かれている部屋には,入室許可を得た者が共通の暗証番号を入力して入室している。
- ウ機密性の高い情報資産が置かれる部屋は,社員以外の者の目に触れる場所を避けて設けている。
- エ取引先との打合せは,社員が業務を行っている執務室から分離された場所であって,かつ,機密性の高い情報資産が置かれていない場所で行っている。
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✓ これが正解イ機密性の高い情報資産が置かれている部屋には,入室許可を得た者が共通の暗証番号を入力して入室している。
解説
共通の暗証番号での入室は、個々人を追えないので指摘対象です。
情報セキュリティの実践規範では、機密性の高い情報資産を置く区画への入退室は、いつ、誰が、どのように入ったかを個々人の単位で追えるようにしておくことが求められます。この求めに照らすと、入室許可を得た者どうしで同じ暗証番号を共有し、それを入力して入室する形は、記録が残ったとしても、その時点で入室したのが誰であったかまでは特定できません。責任の追跡が個々人の単位で成り立たなくなるため、監査人はこの点を指摘事項として報告書に載せる必要があります。他の三つの記述、すなわち荷物の受渡し場所を情報処理施設と切り離す、機密性の高い区画を人目から遠ざける、外部との打合せの場を執務室や情報資産のある場所から分ける、はいずれも規範の求めに沿った物理的な区分の考え方に合っているので、指摘事項として取り上げる対象にはあたりません。正解の肢は、個々人の単位での追跡が成り立たなくなる運用を述べたものです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- ア外部からの荷物の受渡しは,サーバ室などの…:外部からの荷物の受渡しを、情報処理施設に立ち入ることなく積降ろしできる場所で行っていると述べています。これは配送業者などの外部の者と情報資産の置き場所を切り離す運用で、規範の求めに沿った望ましい形にあたります。
- ウ機密性の高い情報資産が置かれる部屋は,社…:機密性の高い情報資産が置かれる部屋を、社員以外の目に触れる場所を避けて設けていると述べています。これは資産の存在そのものを外から見えにくくする配置の工夫で、規範の求めに沿った望ましい形にあたります。
- エ取引先との打合せは,社員が業務を行ってい…:取引先との打合せを、執務室から分離された場所であって、機密性の高い情報資産が置かれていない場所で行っていると述べています。これは業務と面談を物理的に切り離した運用で、規範の求めに沿った望ましい形にあたります。
この問題の用語
- 物理的セキュリティ建物や部屋、機器そのものへの接近を制限して守る対策。施錠や入退室の記録など、通信の経路とは別の側を固めます。
- 指摘事項監査で見つかった、直すべき点として報告書に書かれる事柄です。決まりどおりに行われていた行為は、ここには含まれません。
- JIS Q 27002情報セキュリティの管理策について、実践の指針を示す規格です。教育の実施状況などを見直すときの、よりどころになります。
- 管理策危険を減らすために実際に行う手立て。一覧として並べられていて、自分たちに要らないものは理由を示して外すことができます。
- 情報セキュリティ監査対策が整えられ運用されているかを、独立した立場の人が検証して保証や助言を与える活動。対象は情報システムではなく情報資産で、コンピュータの無い部署も含みます。
- 監査人システム監査を行う人。作る側や運用する側から独立した立場を保ち、自分では作らずに規程や記録を見て確かめます。
- 監査報告書監査の結果と意見、改善の勧告をまとめて伝える文書のことです。原案は相手と意見交換し、事実誤認がないかを確かめます。
- 機密性許された人だけが情報に触れられる状態が保たれていること。完全性・可用性と並ぶ、情報セキュリティの三つの性質の一つです。
出典:平成31年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問60
同じ用語が出る問題
- 令和7年度 秋期 午前 問59:監査人が行うフォローアップ(監査報告書)
- 令和7年度 春期 午前 問59:システム監査における“監査手続”(指摘事項)
- 令和5年度 春期 午前 問39:ISMAPに関する問題(管理策)
- 令和3年度 秋期 午前 問57:情報セキュリティ監査に関する問題(情報セキュリティ監査)
- 平成22年度 春期 午前 問41:脅威の説明(JIS Q 27002)
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