第37回 問題27
社会福祉の原理と政策
次のうち,日本において,法令に照らして「間接差別」となる事例として,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1男女同数の職場にもかかわらず,法人内の管理職がほとんど男性のため,次の昇任人事では女性職員を優先して管理職に登用することにした。
- 2職場内で複数の職員が集まって,同僚の職員Aの私生活を噂し,それを聞いた職員Bが不快に思った。
- 3広域にわたり展開する施設・事業所がなく,新規展開の計画がないにもかかわらず,転居を伴う転勤を要件として職員を募集し,男性だけを採用した。
- 4車いすを利用する障害者が,正当な理由がないにもかかわらず公共交通機関の利用を拒否された。
- 5特定の民族や国籍の人々に対し,その民族や国籍のみを理由として,地域社会からの排除を煽動する言動がなされた。
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✓ これが正解3広域にわたり展開する施設・事業所がなく,新規展開の計画がないにもかかわらず,転居を伴う転勤を要件として職員を募集し,男性だけを採用した。
解説
合理的理由のない転居転勤要件で男性だけ採用するのは、間接差別です。
間接差別とは、性別などを直接の理由にしていなくても、一見中立的な基準を設けることで、結果として一方の性に大きな不利益を与え、しかもその基準に合理的な理由がない場合をいいます。この問は、男女雇用機会均等法の間接差別の規定で判断します。
男女雇用機会均等法第7条は、性別以外の事由を要件とする措置のうち、実質的に性別を理由とする差別となるおそれがあるものとして厚生労働省令で定めるものは、合理的な理由がなければ講じてはならないとしています。同法施行規則第2条は、その一つに、募集・採用、昇進、職種の変更で、住居の移転を伴う配置転換に応じられることを要件とする措置をあげています。広域に展開する事業所も新規展開の計画もないのに、転居を伴う転勤を要件として職員を募集し、結果として男性だけを採用した事例は、合理的な理由のない転勤要件にあたるので、間接差別の事例として最も適切です。
ほかの事例は、間接差別ではありません。男女の格差を解消するために女性を優先して登用するのは積極的な取組(ポジティブ・アクション)です。同僚の私生活の噂はハラスメントなど職場の人権の問題、車いす利用者の乗車拒否は障害を理由とする差別、民族や国籍を理由とした排除の煽動はヘイトスピーチの問題です。
間接差別は、性別を直接持ち出さない基準が、合理的な理由なく一方の性に不利に働く場合、と押さえておくと見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1男女同数の職場にもかかわらず,法人内の管…:男女間に事実上の格差があるとき、それを解消するために女性を優遇する取組はポジティブ・アクションと呼ばれ、男女雇用機会均等法でも認められています。間接差別にはあたりません。
- 2職場内で複数の職員が集まって,同僚の職員…:同僚の私生活を噂し合うことは、職場での人権やハラスメントに関わる問題です。一見中立的な基準によって一方の性が不利になる間接差別の場面ではありません。
- 4車いすを利用する障害者が,正当な理由がな…:車いすを利用する人が正当な理由なく公共交通機関の利用を断られるのは、障害を理由とする不当な差別的取扱いの問題です。男女雇用機会均等法でいう間接差別とは異なります。
- 5特定の民族や国籍の人々に対し,その民族や…:特定の民族や国籍の人々を地域社会から排除するよう煽動する言動は、ヘイトスピーチ解消法が解消をめざす不当な差別的言動にあたります。間接差別の事例ではありません。
出典:第37回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題27。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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