第37回 問題18
社会学と社会システム
災害時におけるレジリエンスの意味として,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1災害の発生から復旧・復興に加え,次の災害に備えていくための諸活動を一つのサイクルとして捉えることである。
- 2支援ニーズに対して支援者側から積極的に働きかけて情報や支援を提供することである。
- 3被災者並びに被災地が被害から立ち直っていく際に持つ力のことである。
- 4予期しない出来事に遭遇した際に,事態が悪化しているにもかかわらず楽観的な見方を維持する態度のことである。
- 5大規模災害の後に一時的な現象として発生する理想郷的コミュニティのことである。
答えと解説を見る
✓ これが正解3被災者並びに被災地が被害から立ち直っていく際に持つ力のことである。
解説
災害時のレジリエンスは、被災者や被災地が立ち直る力です。
レジリエンスは、もともと跳ね返る力や回復力を意味する言葉で、災害の分野では、被害を受けた人や地域が、その衝撃に耐え、立ち直り、さらに次の災害に備えて適応していく力を指します。この問は、災害に関わるいくつかの概念の意味を区別できるかで判断します。
被災者並びに被災地が被害から立ち直っていく際に持つ力とする記述は、このレジリエンスの意味に合っているので最も適切です。個人の心の回復力だけでなく、地域社会がもつ人と人とのつながりや助け合いの力も、地域のレジリエンスを支えるものと考えられています。
ほかの記述は別の概念です。発生から復旧・復興、次の災害への備えまでを一つの循環として捉えるのは災害マネジメントサイクルの考え方です。支援者側から積極的に働きかけて支援を届けるのはアウトリーチです。事態が悪化しているのに楽観的な見方を保ってしまうのは正常性バイアスと呼ばれる心の働きで、大災害の後に一時的に生まれる理想郷のような助け合いの共同体は災害ユートピアと呼ばれます。
レジリエンスは、壊れないことではなく、被害を受けても立ち直っていく力、と押さえておくと見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1災害の発生から復旧・復興に加え,次の災害に備えていくための諸活動を一つのサイクルとして捉えることである。:災害を、起きる前の備えから発生時の対応、復旧・復興までをひと続きの周期として管理する考え方は、災害マネジメントサイクルと呼ばれます。回復の力を表す語ではありません。
- 2支援ニーズに対して支援者側から積極的に働きかけて情報や支援を提供することである。:支援を必要とする人に、支援者の側から出向いて積極的に情報や支援を届けるのはアウトリーチです。被災した人や地域が持つ回復力を指す言葉ではありません。
- 4予期しない出来事に遭遇した際に,事態が悪化しているにもかかわらず楽観的な見方を維持する態度のことである。:危険が迫っているのに大したことはないと楽観的に捉えてしまう心の働きは、正常性バイアスと呼ばれます。避難の遅れにつながるもので、回復する力とは別の概念です。
- 5大規模災害の後に一時的な現象として発生する理想郷的コミュニティのことである。:大規模災害の後に一時的に現れる、助け合いに満ちた理想郷のような共同体は、災害ユートピアと呼ばれます。被災地が立ち直る力を指すレジリエンスとは異なります。
出典:第37回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題18。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)