第36回 問題17
社会学と社会システム
次のうち,人々が社会状況について誤った認識をし,その認識に基づいて行動することで,結果としてその認識どおりの状況が実現してしまうことを指す概念として,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1予言の自己成就
- 2創発特性
- 3複雑性の縮減
- 4ホメオスタシス
- 5逆機能
答えと解説を見る
✓ これが正解1予言の自己成就
解説
誤った認識が行動を通して現実になるのが、予言の自己成就です。
予言の自己成就は、マートンが示した概念です。ある状況について人々が抱いた思い込みが、たとえ最初は事実と違っていても、人々がその思い込みに沿って行動することで、結果としてその思い込みどおりの状況が本当に生まれてしまうことを指します。
よく挙げられる例が銀行の取り付け騒ぎです。経営に問題のない銀行でも、あの銀行は危ないといううわさが広まり、多くの人が一斉に預金を引き出そうとすると、本当に資金が足りなくなり経営が行き詰まってしまいます。誤った認識が行動を引き起こし、その行動が認識を現実にしているわけです。したがって設問の説明に当たる概念は予言の自己成就です。
ほかの概念は、それぞれ別のことを指します。創発特性は部分が組み合わさることで全体に新しく現れる性質、複雑性の縮減はルーマンの社会システム論でシステムが世界の複雑さを減らして扱える形にする働き、ホメオスタシスは生体などが内部の状態を一定に保つ働き、逆機能はマートンが示した、ある仕組みが全体の適応をかえって妨げる働きです。
覚え方は、思い込み、それに沿った行動、思い込みの実現という3段の流れで押さえることです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2創発特性:創発特性は、個々の部分にはない性質が、部分どうしが関わり合うことで全体の水準に新しく現れることを指す概念です。思い込みが現実になる過程を表すものではありません。
- 3複雑性の縮減:複雑性の縮減は、ルーマンの社会システム論で、システムが周りの世界の複雑さを減らし、扱える形に絞り込む働きを指します。認識が現実化する話とは別の概念です。
- 4ホメオスタシス:ホメオスタシスは、生体などが外の変化を受けても内部の状態を一定に保とうとする働きを指します。思い込みに沿った行動がその状況を生むという現象とは違います。
- 5逆機能:逆機能は、ある仕組みや制度が、社会全体の適応や目的の達成をかえって妨げるように働くことを指します。マートンが示した概念ですが、設問の説明とは別のものです。
出典:第36回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題17。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)