平成22年度 春期 午前Ⅱ 問12
ハードウェア
二重積分方式に関する問題
図は二重積分方式A/D変換器によるA/D変換の信号波形を示している。図の波形B(破線)と比べた波形A(実線)を示す状態として,適切な組合せはどれか。
信号波形(t0〜t1 は入力電圧積分信号がONの期間,t1 から基準電圧積分信号がONになり,Aでは t2,Bでは t3 にOFFになる):
| 信号 | t0より前 | t0〜t1 | t1〜t2 | t2〜t3 | t3より後 |
|---|---|---|---|---|---|
| 積分器出力 A(実線) | 0V | 0Vから一定の傾きで下降(Bより緩やか) | t1の値から一定の傾きで上昇し,t2で0Vに戻る | 0V | 0V |
| 積分器出力 B(破線) | 0V | 0Vから一定の傾きで下降(Aより急で,t1でAより低い) | t1の値からAと同じ傾きで上昇 | 上昇を続け,t3で0Vに戻る | 0V |
| 入力電圧積分信号 | OFF | ON | OFF | OFF | OFF |
| 基準電圧積分信号 A | OFF | OFF | ON | OFF | OFF |
| 基準電圧積分信号 B(破線) | OFF | OFF | ON | ON | OFF |
(t0〜t3 は原典に無い名)
選択肢は原典ではA/D変換器への入力電圧・逆積分時間・ディジタル値出力の表。
- アA/D変換器への入力電圧:高い / 逆積分時間:長い / ディジタル値出力:大きい
- イA/D変換器への入力電圧:高い / 逆積分時間:短い / ディジタル値出力:大きい
- ウA/D変換器への入力電圧:低い / 逆積分時間:長い / ディジタル値出力:小さい
- エA/D変換器への入力電圧:低い / 逆積分時間:短い / ディジタル値出力:小さい
答えと解説を見る
✓ これが正解エA/D変換器への入力電圧:低い / 逆積分時間:短い / ディジタル値出力:小さい
解説
Aは入力が低く、逆積分時間が短く、出力値も小さくなります。
二重積分方式では、まず入力電圧を決まった時間だけ積分し、次に極性が逆の基準電圧を積分して、積分器の出力が0Vに戻るまでの時間を数えます。最初の積分は時間が一定なので、下降の傾きは入力電圧に比例します。波形Aは波形Bより下降が緩やかなので、入力電圧が低いと分かります。次の逆積分は基準電圧が一定なので上昇の傾きは同じで、Bより浅い位置から戻るAのほうが早く0Vに達し、逆積分時間が短くなります。この時間をクロックで数えた値がデジタル値なので、Aの出力は小さくなります。入力電圧、逆積分時間、出力値は同じ向きに動く、と覚えると組合せを選べます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- アA/D変換器への入力電圧:高い / 逆積…:波形Aは、決まった時間の積分で下がる量がBより少ないので、入力電圧はBより低いと読み取れます。逆積分時間もBより短いので、入力電圧が高く逆積分時間が長いという組合せは、波形と二つとも逆です。
- イA/D変換器への入力電圧:高い / 逆積…:逆積分時間が短いことは波形と合っていますが、入力電圧を高いとしている点が誤りです。二重積分方式では入力電圧が高いほど逆積分時間も長くなるので、高い入力電圧と短い逆積分時間は組になりません。
- ウA/D変換器への入力電圧:低い / 逆積…:入力電圧が低い点とデジタル値出力が小さい点は合っています。しかし、波形Aは浅い位置から同じ傾きで0Vへ戻るので逆積分時間はBより短くなり、長いとしている点が波形と合いません。
出典:平成22年度 春期 エンベデッドシステムスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問12
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)