第40回 午後 問129
臨床栄養学
妊娠高血圧腎症に関する問題
37歳、女性。妊娠30週。身長155 cm、非妊娠時体重55 kg(BMI 22.9 kg/m²)、標準体重53 kg。妊娠28週から血圧が140/90 mmHgを超えることが多くなり、たんぱく尿を認め、妊娠高血圧腎症と診断された。血中カリウム値4.5 mEq/L。他の合併疾患はみられない。この患者の1日当たりの目標栄養量に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
- 1エネルギーは、1,400 kcalとする。
- 2たんぱく質は、45 gとする。
- 3食塩は、4gとする。
- 4カリウムは、1,500 mgとする。
- 5飲水量は、制限しない。
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✓ これが正解5飲水量は、制限しない。
解説
合併症がなければ、飲水量は制限しません。
妊娠高血圧腎症は、妊娠20週以降に高血圧とたんぱく尿などがみられる状態で、妊娠高血圧症候群の病型の一つです。栄養管理では、極端なエネルギー制限や食塩制限は行わず、胎児の発育と母体の健康を保てるよう、必要な量を確保することが基本とされます。
水分については、1日の尿量が極端に少ない場合や肺水腫がある場合を除いて、制限しないとされています。この患者は他の合併疾患がみられず、乏尿や肺水腫を示す情報もないので、飲水量は制限しないという記述が最も適当です。ほかの目標量は、エネルギーとたんぱく質は少なすぎ、食塩は制限が強すぎ、カリウムは血中の値が正常なのに制限している、という点で、この患者に合いません。
妊娠高血圧症候群の栄養管理は、極端な制限をしない、と覚えておくと、どの栄養素の目標量も判断しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1エネルギーは、1,400 kcalとする。:非妊娠時BMIが24以下の妊婦では、標準体重 × 30 kcal に200 kcalを加える目安があり、この患者では1,790 kcalほどになります。1,400 kcalでは不足し、胎児の発育に影響するおそれがあります。
- 2たんぱく質は、45 gとする。:たんぱく質は、標準体重1 kgあたり1.0 g程度が目安とされ、この患者では53 g前後になります。45 gでは少なく、尿にたんぱくが失われている状態ではさらに不足しやすくなります。
- 3食塩は、4gとする。:妊娠高血圧症候群では、食塩を極端に制限すると循環血液量が減り、かえって病態が悪くなるおそれがあります。7〜8 g/日程度の軽い制限が勧められ、4 gは制限が強すぎます。
- 4カリウムは、1,500 mgとする。:血中カリウム値は4.5 mEq/Lで正常範囲にあり、腎機能の低下による高カリウム血症も認めません。カリウムを1,500 mgに制限する根拠はなく、野菜や果物の摂取を不必要に減らすことになります。
出典:第40回 管理栄養士国家試験 午後(厚生労働省)問129(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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