第61回 午後 問14
理学療法治療学
感覚鈍麻に関する問題
62歳の男性。2型糖尿病の発症から20年が経過している。歩行は自立していた。2か月前から両足部のしびれ感を自覚し、数日前に右足部第1指が暗赤色になっているのに気付き受診した。両下肢に皮膚潰瘍はないが、感覚鈍麻を認めた。理学療法で最も適切なのはどれか。
- 1寒冷療法を行う。
- 2前足部の免荷を行う。
- 3できるだけ速く歩くことを勧める。
- 4右足関節の関節可動域運動は控える。
- 5歩行時には左足を右より前に出すよう指導する。
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✓ これが正解2前足部の免荷を行う。
解説
潰瘍の前段階の第1指病変には前足部の免荷が適切です。
長い糖尿病歴があり、足部のしびれと感覚鈍麻(糖尿病性神経障害)、さらに第1指の暗赤色の変化が出ている症例です。感覚が鈍いと靴ずれや圧迫に気付けず、血流の低下も重なると小さな傷が潰瘍や壊疽へ進みやすくなります。判断の軸は、糖尿病足病変の予防では、傷みかけた部位への圧や摩擦を減らすことが最優先という点です。
第1指など前足部は、歩行の蹴り出しで体重が大きくかかる場所です。インソールや靴の工夫、歩き方の調整で前足部の免荷を行うことは、潰瘍の発生を防ぐうえで最も適切な対応です。
寒冷療法は血流をさらに低下させ、感覚鈍麻のため凍傷などの損傷にも気付きにくく危険です。速く歩くと蹴り出しの力が増して前足部への圧が高まります。足関節の可動域が狭くなると前足部の圧が上がりやすいので、可動域運動は控えるより維持するほうが望ましいです。左足を右より前に出す歩き方では、右足が後ろに残って前足部で蹴り出すことになり、右第1指への負担が増えます。神経障害のある足は、冷やさない・こすらない・押しつけない、と覚えておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1寒冷療法を行う。:寒冷は血管を収縮させて末梢の血流をさらに減らします。感覚鈍麻があると冷えすぎや凍傷にも気付きにくく、糖尿病の足には避けるべき治療です。
- 3できるだけ速く歩くことを勧める。:速く歩くほど蹴り出しの力が強まり、第1指を含む前足部への圧と摩擦が増えます。病変を悪化させる方向の指導です。
- 4右足関節の関節可動域運動は控える。:足関節の動きが硬くなると歩行中に前足部へ圧が集中しやすくなります。可動域を保つ運動はむしろ病変予防に役立つため、控える理由はありません。
- 5歩行時には左足を右より前に出すよう指導する。:左足を前に出すと右足が後方に残り、右の前足部、とくに第1指で蹴り出す形になります。病変のある右第1指への負担が増える指導です。
出典:第61回 理学療法士国家試験 午後(厚生労働省)問14(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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