第40回 午後 問174
応用力試験
栄養食事指導に関する問題
次の文を読み「173」、「174」に答えよ。
Kクリニックに勤務する管理栄養士である。初診時に初回の外来栄養食事指導を行った。
患者は、33歳、男性。会社員。両親と同居。職場の健診で、血糖値が高いことを指摘され、当クリニックを受診し、2型糖尿病と診断された。喫煙、飲酒の習慣はない。
身長170 cm、体重102 kg、BMI 35.3 kg/m²。血圧138/85 mmHg。空腹時の血液検査は、血糖140 mg/dL、HbA1c 7.2%、LDLコレステロール100 mg/dL、HDLコレステロール36 mg/dL、トリグリセリド205 mg/dL、AST 36 U/L、ALT 50 U/L。他に合併症はない。
患者は、幼少期から体が大きく、今まで体型を気にしたことはなかった。患者は、医師からの薬物治療の提案を強く拒絶した。このため、食事療法により、3か月後の目標体重を95 kgとした減量を行うこととなった。
患者は、今まで栄養食事指導を受けたことがなく、医師から糖尿病の合併症について説明されたことに対し、「やせなければいけないことは分かりますが、おいしいものが食べられない生活なんて考えられません。」と発言している。
初診から2か月後に、医師の指示で2回目の栄養食事指導を行うことになった。患者は「頑張って一度は体重が減ったのに、最近は仕事が忙しく、ストレスで食べ過ぎて、体重が元に戻ってしまいました。薬は飲みたくないので、食事で頑張れたら良いのですが。」と発言している。患者が再び食事療法に取り組むために、管理栄養士が最初に発言する内容として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- 1仕事が忙しくなるまでは、順調に体重を減らせていましたね。
- 2服薬が嫌とのことですので、食事療法を今以上に頑張りましょう。
- 3体重が増えてきていますが、今どれくらい食べていますか。
- 4体重が減らないと、糖尿病の合併症が起きますよ。
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✓ これが正解1仕事が忙しくなるまでは、順調に体重を減らせていましたね。
解説
まず、順調に減量できていた点を認める発言から始めます。
体重が元に戻ってしまった患者は、自信をなくしていたり、責められるのではないかと身構えていたりします。行動を続ける力を取り戻すには、まず本人ができていたことを認め、自分にもできるという気持ち(自己効力感)を高めることが大切です。
患者は、一度は体重が減ったこと、仕事のストレスで食べ過ぎて戻ったこと、薬は飲みたくないので食事で頑張りたいことを話しています。再び取り組もうという意欲は残っているので、管理栄養士は最初に、仕事が忙しくなるまでは順調に体重を減らせていたことを伝え、本人の努力と成功の経験を認めます。そのうえで、忙しい時期にも続けられる方法を一緒に考えていきます。
したがって、順調に減らせていたことを認める発言が最も適切です。カウンセリングの最初の発言では、指摘や説得よりも、本人の取組を受け止めて言葉にすることを優先すると覚えておくと見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2服薬が嫌とのことですので、食事療法を今以上に頑張りましょう。:服薬を避けたい気持ちを理由に、今以上の頑張りを求める発言は、ストレスで食べ過ぎてしまった患者をさらに追い込みます。最初の発言で負担を増やすと、取組への意欲がかえって下がるおそれがあります。
- 3体重が増えてきていますが、今どれくらい食べていますか。:体重が増えていることを先に指摘してから食事量を尋ねると、患者は責められていると感じやすくなります。食事量の確認は必要ですが、まず本人の努力を認めてから聞くほうが、話し合いを進めやすくなります。
- 4体重が減らないと、糖尿病の合併症が起きますよ。:合併症が起きると脅すように伝えるのは、恐怖で行動を変えさせようとする方法です。患者はすでに医師から合併症の説明を受けており、不安を強めても続けられる行動にはつながりにくい発言です。
出典:第40回 管理栄養士国家試験 午後(厚生労働省)問174(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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