第40回 午前 問5
社会・環境と健康
コホート研究に関する問題
喫煙と疾病の罹患に関するあるコホート研究の結果を表に示した。交絡因子の影響は考えないものとする。この結果で示される喫煙と各疾病の罹患に関する説明である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
表 あるコホート研究による喫煙者と非喫煙者における疾病の罹患率
| 10万人年に対する罹患率 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 肺がん | 脳卒中 | 虚血性心疾患 | COPD | |
| 喫煙者 | 130 | 1500 | 2500 | 30 |
| 非喫煙者 | 10 | 750 | 1000 | 4 |
- 1喫煙と疾病の罹患との関連は、虚血性心疾患の方が肺がんより強い。
- 2喫煙と疾病の罹患との関連は、脳卒中の方が肺がんより強い。
- 3喫煙と疾病の罹患との関連は、COPDで最も弱い。
- 4喫煙による影響が全て取り除かれたとき、減少すると考えられる罹患者数は、脳卒中の方がCOPDより少ない。
- 5喫煙による影響が全て取り除かれたとき、罹患者数が最も減少すると考えられる疾患は、虚血性心疾患である。
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✓ これが正解5喫煙による影響が全て取り除かれたとき、罹患者数が最も減少すると考えられる疾患は、虚血性心疾患である。
解説
喫煙を除いたとき最も減る罹患者は虚血性心疾患です。
曝露と疾病の関連の強さは相対危険(喫煙者の罹患率÷非喫煙者の罹患率)で、曝露をなくしたときに減る患者の多さは寄与危険(喫煙者の罹患率−非喫煙者の罹患率)で判断します。疫学で、関連の強さと公衆衛生上の影響の大きさを分けて考えるための基本の指標です。
表から計算すると、相対危険は肺がん130÷10=13、脳卒中1500÷750=2、虚血性心疾患2500÷1000=2.5、COPD30÷4=7.5です。関連が最も強いのは肺がんで、最も弱いのは脳卒中になります。寄与危険(10万人年あたり)は肺がん120、脳卒中750、虚血性心疾患1500、COPD26です。喫煙の影響がなくなったときに罹患者数が最も大きく減るのは、寄与危険が最大の虚血性心疾患です。
関連の強さを問われたら割り算の相対危険、減らせる人数を問われたら引き算の寄与危険、と問いの言葉で指標を選び分けるのが見分け方です。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1喫煙と疾病の罹患との関連は、虚血性心疾患の方が肺がんより強い。:相対危険で比べると、虚血性心疾患は2.5、肺がんは13です。喫煙との関連は肺がんの方がずっと強いので、虚血性心疾患の方が強いという記述は逆になります。
- 2喫煙と疾病の罹患との関連は、脳卒中の方が肺がんより強い。:脳卒中の相対危険は1500÷750で2にとどまり、肺がんの13を大きく下回ります。発生数そのものは脳卒中の方が多くても、関連の強さでは肺がんの方が上です。
- 3喫煙と疾病の罹患との関連は、COPDで最も弱い。:COPDの相対危険は30÷4で7.5です。4疾患の中で最も小さいのは脳卒中の2なので、COPDで関連が最も弱いとはいえません。
- 4喫煙による影響が全て取り除かれたとき、減少すると考えられる罹患者数は、脳卒中の方がCOPDより少ない。:罹患率の差で見ると、脳卒中は10万人年あたり750、COPDは26です。喫煙の影響がなくなったときに減る人数は脳卒中の方がはるかに多く、記述と逆になります。
出典:第40回 管理栄養士国家試験 午前(厚生労働省)問5(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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