第40回 午後 問179
応用力試験
分食に関する問題
次の文を読み「178」、「179」、「180」に答えよ。
K病院に勤務する管理栄養士である。
患者は、70歳、男性。妻と二人暮らし。数日前から食後に嘔吐を繰り返しており、食事が食べられなくなったため、近医を受診した。胃がんの疑いがあると近医から当院を紹介され受診し、内視鏡検査の結果、幽門狭窄を認める胃がんと診断され入院した。
身長168 cm、体重55 kg、BMI 19.5 kg/m²。血圧116/70 mmHg。入院時の血液検査値は、総たんぱく質6.0 g/dL、アルブミン3.0 g/dL、Hb 10.6 g/dL。
患者は、2週間後に胃亜全摘術を受ける予定である。
手術後の経過は良好であり、4日目に1日5回の分食による食事が開始された。食事内容は、流動食から開始され、段階的に食上げされた。8日目の朝食は、5分粥食を7割程度摂取でき、昼食は全粥食が提供された。患者が昼食を食べ始めて30分経過し、8割程度を食べ終えたところ、動悸、顔面紅潮がみられ、腹痛と下痢を認めた。4日目の食事開始前に栄養食事指導をしていたが、担当医師の指示により、夕食を提供する前に再度指導を行うこととなった。管理栄養士の発言として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- 1食事に慣れるまでは嘔吐することもありますので、心配ありませんよ。慣れるまでこの調子で食べましょう。
- 2食事を残してもかまいませんので、食べられる分だけ、もっとゆっくりよく噛んで食べましょう。
- 3全粥食よりも消化しやすい5分粥食に戻します。
- 4血糖値が低下した可能性があります。食事に補食を付けますので、食後1~2時間後に食べてください。
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✓ これが正解2食事を残してもかまいませんので、食べられる分だけ、もっとゆっくりよく噛んで食べましょう。
解説
早期ダンピングの症状なので、ゆっくりよく噛んで食べるよう伝えます。
胃を切除すると、食べ物をためておく働きが弱まり、食べた物が一度に腸へ流れ込みやすくなります。食後30分以内ごろに動悸、顔面紅潮、腹痛、下痢などが起こるのが早期ダンピング症候群で、一度に多く、速く食べることが引き金になります。
患者は昼食を食べ始めて30分ほどで、8割程度を食べたところで動悸と顔面紅潮、腹痛、下痢が出ており、早期ダンピング症候群と考えられます。朝食は5分粥食を7割程度でしたが、昼食は全粥食をそれより多く食べています。対策は、一度に食べる量を減らし、時間をかけてよく噛んで食べることです。食べきれない分は残してよいと伝えれば、無理に食べ進めずにすみます。
したがって、食べられる分だけゆっくりよく噛んで食べるよう伝える発言が最も適切です。症状が食後すぐに出るか、食後しばらくたって出るかで、早期と後期のダンピング症候群を見分けると覚えておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1食事に慣れるまでは嘔吐することもありますので、心配ありませんよ。慣れるまでこの調子で食べましょう。:患者に起きたのは嘔吐ではなく、動悸や顔面紅潮、腹痛、下痢です。心配ないと伝えて同じ食べ方を続けさせると、一度に多く速く食べることによる症状がくり返されます。
- 3全粥食よりも消化しやすい5分粥食に戻します。:症状の原因は、全粥食が消化しにくいことではなく、一度に多くの量を速く食べて腸へ急に流れ込んだことです。5分粥食に戻しても、食べ方を変えなければ同じ症状が起こり得ます。
- 4血糖値が低下した可能性があります。食事に補食を付けますので、食後1~2時間後に食べてください。:食後1〜2時間たってからの補食で対処するのは、血糖値が下がって起こる後期ダンピング症候群の対策です。この患者の症状は食べ始めて30分ほどで出ており、早期のタイプにあたります。
出典:第40回 管理栄養士国家試験 午後(厚生労働省)問179(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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